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『妃は船を沈める』  有栖川有栖  光文社

妃は船を沈める
妃は船を沈める

所有者の願い事を3つだけかなえてくれる「猿の手」。「妃」と綽名される女と、そのまわりに集う男たち。不穏な揺り籠に抱かれて、彼らの船はどこへ向うのか−。臨床犯罪学者・火村英生が挑む、倫理と論理がねじれた難事件。

作家アリスシリーズ。
もともと「猿の手」という中編に「幕間」「残酷な揺り籠」と続編を作ったという、有栖川さんの作品の中では珍しい物語の作り方で出来た一冊。

「猿の手」
車ごと海に飛び込み死亡した男性、しかしどうして海に飛び込んだのか。
この物語はウィリアム・W・ジェイコブズの『猿の手』を連想させるように作られ、フューチャーされてるのだが、それとは別に妃沙子という魅力的で個性的な女性が登場する。男性を囲うタイプの人なのだが、実年齢より若くお金持ちであること以外の情報はないところが逆にミステリアス。
その女性が数年後として次の「残酷な揺り籠」に登場する。
両方ともトリック部分は弱い、それより人の心理を利用したり逆手に取り、発想の転換を求められる、心理描写で読ませてると思う。
彼女の半生〜とまではいかないが、人生の一部が描かれていて魅力的な話だったと思う。
また新たな女性刑事も登場、どうもアリスの好みのタイプらしい(笑)
「残酷な揺り籠」というタイトルも事件に関わるあの揺れも関西出身らしい発想で上手い。
私はオススメです。

9点



2008.10.30 Thursday 00:50 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『乱鴉の島』  有栖川 有栖  新潮社

乱鴉の島
乱鴉の島

友人の作家・有栖川有栖と休養に出かけた臨床犯罪学者の火村英生は、手違いから目的地とは違う島に連れて来られてしまう。絶海の孤島に集まり来る人々。奇怪な殺人事件…。火村シリーズ、4年ぶりの長編。

作家アリスシリーズ初の孤島もの。
間違ってつれて来られた黒根島には、有名作家とファンらしき人達が集まっていた。そこには共通する秘密が隠されているようだが、部外者の二人には明らかに隔たりがあり、仲良く時間を過ごせそうにもないのだが、次に船が来るのが明後日。携帯も通じないこの島に、更に招かれざる客が訪れるのだが…。

この二人が事件も無いのに旅に出るというのが不思議なのだが、イキナリトラブルの連続、烏が飛び交う島に不思議な人達が11人もいる。これまでのシリーズにあまり出てこない子どもが出てくるのが新鮮。そして不穏な雰囲気が結構続いてから起こる殺人事件。
…と、今回は事件トリックや動機がメインではなく、その集まりが何故起こったか、その背景が重要な意味を持っている。
ある程度の情報は火村達も分かってるのに頑なに拒まれ、部外者ゆえに身の危険さえも感じさせる。そして孤島に群がる烏達が実に不気味。しかし、殺伐としているというわけではないのでホラー感はゼロ。。
確かに読み応えはあるけど、盛り上がり(驚き)が少なく物足りなさは感じる。
〜まぁ細かくというか何を書いてもネタバレしそうなので書かない(しかし後で記事を読むとまるで内容の無い感想になるのだけど)が、本格ミステリという枠の中で、今までと違ったアプローチをしてきてると思う。
この事件を終えた二人、特に火村はどう感じるのだろうか〜などと思う。作家アリスももう少し大人になってほしいと思うのだが、彼は知らん間に随分年下になっていた(笑)
ちょっと暴走してしまうのも彼の魅力かしら…。

作家インタビュー

8点
2008.09.13 Saturday 01:13 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『モロッコ水晶の謎』  有栖川 有栖  講談社文庫

モロッコ水晶の謎 (講談社文庫 あ 58-14)
モロッコ水晶の謎 (講談社文庫 あ 58-14)

推理作家・有栖川有栖の眼前で起きた毒殺事件に、臨床犯罪学者・火村英生が超絶論理で挑む表題作ほか、クリスティの名作「ABC殺人事件」をモチーフに書かれた連続挑戦予告殺人を追う「ABCキラー」など、全4編を収録。

作家アリスと火村とは、ある程度の距離を持ったお付き合い。それは火村が言葉少なでミステリアスなせいなのかもしれないけど、その分作家アリスは思ったまま話してくれるのでこちらに感情移入しやすいです。

◇「助教授の身代金」
 助教授っていうからてっきり…と思ったら違ってた。動機・アリバイ・身代金の受け渡し〜など、なかなか繋がってこない展開に惹きこまれました。

◇「ABCキラー」
 アガサクリスティー『ABC殺人事件』になぞられたような事件が起きるが挑戦状には愉快犯な一面も匂わせる。被害者達の共通点は、犯人の動機は…
 モチーフにされて書かれてるだけに、ABC〜と出てくるのですが見事に交わしてありました(笑)
ただ、もう少しネーミングを何とかして欲しかったな。BやCで始まる名字は珍しいかしら…ちょっと強引な名前で冷めますね

◇「推理合戦」
 掌編だけど面白い。言葉少ない火村と先輩作家の会話でどこまで推理出きるのか。作家アリスらしい最後のセリフは…ふふふっ。

◇「モロッコ水晶の謎」
 表題にもなっているこの作品、ほぼ地名は関係無い。しかし響きは良い(笑)
久々にみる毒殺系のミステリ。アリスがその場に居合わせたという実に活躍出来そうなシチュエーションなのだが、見てしまったからこそ柔軟に発想出来ないでいるのでちょっと残念。水晶に全てを委ねてしまっている家族だからこそ起きる奇怪な事件。超現実派の火村がどう解いていくのかが見物です。
 しかし、やはり動機と毒殺する手口にやや不満
どうしてもアリスと火村に注目がいくので、そのほかの人達がどうも翳りがち、キャラが弱く感じてしまうからかな。

とはいえ、毎回最後まで読まなきゃスッキリできない。
今回は火村とアリスとの掛け合いが少なかった〜。
次作はひさびさの長編なので楽しみです。

7点
  …好きだからこそ…ですョ
2008.09.03 Wednesday 10:42 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『鏡の向こうに落ちてみよう』  有栖川 有栖  講談社

鏡の向こうに落ちてみよう 有栖川有栖エッセイ集
鏡の向こうに落ちてみよう 有栖川有栖エッセイ集

鏡の向こうは有栖の世界。謎に満ちた世界にようこそ−。著者のミステリ的思考回路は何を考えているのか? 日々の生活、映画、不思議な事件、そして阪神タイガース。デビュー20年目を迎えた著者が紡ぐ、透明なエッセイ集。

4冊目のエッセイ集。
書いた雑誌とテーマ別に4章に分け書かれているのですが、読み応えあります。
◇本格だったり、ミステリだったり
 台湾で開かれる国際書展に参加することになり、その経緯と台湾での日本のミステリについてなど、詳しく書かれていた。やはり質の良い本(私的表現でスイマセン)は、世界共通なのですね。。
あと、数年前にあった某小説『X』の論争について、某雑誌に寄せたエッセイも載せられてました。今ではその作品がドラマ・映画化され話題作となってるので、読者・視聴者は作品を支持したということなんでしょうか。
有栖川さんのエッセイでも論理的にキッチリ書かれていてツッコミさえも受け付けない感じに書かれてました…。

◇観たり、聴いたり
これは某新聞の夕刊に書かれた映画のコラム。私はホラー系がダメなのであまり参考にはならないけど(笑)同じ映画を観ても感想の表現が違うものかと、惚れ惚れする。
しかし旬の映画ではないので…これは夕刊で読むべきなんだろうなぁ(笑)

◇日常だったり、生活だったり
 これは有栖川さんの日常のエッセイ。作品の話は勿論、飼い猫の話や、解説の時に付くあのロゴマークのことだったり。
自身の作家生活15周年や20周年に向けての話なども書かれている。

◇勝ったり、負けたり
 タイガースファンの有栖川さん、この本に書かれてるのは丁度リーグ優勝した2005年の記事。ファンならではの考察…なのですが、私はタイガースファンではないので(^^ゞですが、当時のファンならではの心理は面白く読ませてもらいました。

…と、エッセイ集だと時間差があり、テンション高めには読めないのですが、あとがきに代えて〜で、補足も書かれていました。

うむ…エッセイでもしっかり読ませます。

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2008.09.01 Monday 01:01 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『正しく時代に遅れるために 有栖川有栖エッセイ集』  有栖川 有栖  講談社

正しく時代に遅れるために 有栖川有栖エッセイ集
正しく時代に遅れるために 有栖川有栖エッセイ集

すべての人間は「6段階の距離」でつながっている!? ネット書店で著者がオススメされたものは…? 日々の生活、映画、小説に隠された謎。作家・有栖川有栖のことがもっとよくわかる一冊。

前回出した『謎は解ける方が魅力的』から直ぐのエッセイ3作目。
それぞれ別のところで発表したのを「身辺雑記」「映画はミステリー」「漫画から文楽・能まで」「エラリー・クイーンから有栖川有栖まで」「選評」「惜別」の7章に分けて紹介。
「漫画から文楽・能まで」は、タイトル通り漫画から文楽までのエッセイをまとめたものだが、あの猫村さんが推理作家宅へ来たら〜なんて話も書かれている。守備範囲広いなあ〜(笑)
また「時代遅れを愛して」というエッセイがある。本格推理小説とハードロックを愛して止まない有栖川さん、けれどそれを今は時代遅れと言われてしまう。時代に遅れていても素晴らしさは変わらない。このよさを次の人に伝えていくことが、このタイトルに繋がっている。
「エラリー・クイーンから有栖川有栖まで」はあとがきや帯の言葉、解説されたのがズラリ。短いコメントが実に効いている。見抜く目が鋭く、表現する言葉の数が多いのが分かる。

「選評」エッセイ集では珍しい(かな?)数々の賞の審査員もされている有栖川さんの選評コメントが幾つか載せられている。
毎回ある程度選ばれた中のたとえば5作品ぐらいを読み比べる訳だが、作品それぞれに良い点悪い点などをピックアップしながら読む、そしてこうしたらさらに良くなるなどもう一つ踏み込んで読んでいる。この選評を読むだけで、作品の世界が見れるから不思議だ。また自分はこういう理由でこの作品を選ぶと決めて審査の場に向かうのだが、その場でのやりとりも書かれていたりする。
こういう様子を見ると、応募した側もちゃんと審査してくれてるのが伝わり、たとえ応援していた人が落選となっても納得出来るだろうな…と、本当に有栖川さんは真面目で推理小説を愛しているのが伝わってくる。
この真面目で真剣っぷりを直○賞の選評家に見習って欲しいものである。

「惜別」は、有栖川さんの師匠でもある鮎川哲也さんや編集者の宇山への追悼の言葉が綴られている。
特に鮎川さんの亡くなった時のくだりは、胸を熱くさせる。

エッセイとはいえ読み応えがあった。
ファンの方は必見です。
2007.03.11 Sunday 00:01 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『謎は解ける方が魅力的』 有栖川有栖 講談社

謎は解ける方が魅力的―有栖川有栖エッセイ集
謎は解ける方が魅力的―有栖川有栖エッセイ集
 
有栖川さんのエッセイ第二弾。
今回は3部立てとなってます。

◇◇映画◇◇
エムテレパル他で書かれた映画に関するエッセイ。1996〜2004年と幅があり、ミステリ映画といえばホラー映画にも繋がるので、見たことのない映画も多かったけど、ミステリ作家が見ると…それは深〜く見ているんですね(笑)。知っている映画もありましたが、ちょっと「こうあるべき!」という括りや好き嫌いがハッキリしているようなので、もっとユルく見てもいいのにな〜なんて思うものもありました……が、それぐらいコダワリやしっかりしたものが無いとミステリ小説は書けないだろう〜とも感じました。
(それにしてもよく見てるしよく覚えてますね〜)
◇◇ミステリーカフェ◇◇
夕刊フジで1999〜2001年まで毎週書かれてたのかな、全部ではないと思うけど、結構たくさんのエッセイが載ってます。『密室殺人は実在するか』『暗号の活用法』『作家のタイプAB』『恐怖のアンケート』『解ける謎の魅力』など…。
◇◇猛虎◇◇
こちらは夕刊フジ他で書かれたエッセイ。ちょうど星野監督で優勝した年のエッセイなので、それは大興奮が伝わってきます(笑)

今回は長期にわたるエッセイばかりなので、有栖川さんの1年の過ごし方が見えるようでした。ミステリに関することは少なかったけど、またエッセイ集を出してくれそうなので、それを待ちたいと思います。
2006.07.15 Saturday 00:01 | comments(3) | trackbacks(0) | 

『白い兎が逃げる』 有栖川有栖 光文社カッパノベルズ

白い兎が逃げる
白い兎が逃げる

4編の中編集、火村シリーズです(*^^*)

短編集だと物足りなさが残るのですが、今回は色んなパターンが読め、また話も短かすぎず、楽しめました。

『不在の証明』
アリバイ崩しに双子が出るのは、良くある話だけど、イラつかずに読めた。通称アクション作家とアリスのやりとりには笑えた。

『地下室の処刑』
意外な動機・・・「シャングリラ十字軍」の存在が出てきたけど、ほんのサワリの部分になるのかな?「シャングリラ〜」の存在だけで話を威圧している。動機の部分は確かに意外だ。
警察が踊らされてしまう部分は上手いなと思った。
これから、このテロ集団と拘っていくらしい・・とっても楽しみだ。

『比類のない神々しいような瞬間』
アリスや火村があんまり登場しないので「チェ」とは思ったがラストに火村が華麗に(想像)謎解き?してくれてニヤリ。
完全犯罪・・?惜しい!こんな落とし穴が。犯人・・・ツイてない!

『白い兎が逃げる』
舞台女優がストーカーから逃げる。「兎・逃げる」に拘りすぎるぐらいに拘る。この拘りは何処まで引っ張るのか〜
時刻トリック・・・王道ネタをどうやって書かれるのか楽しみだった。電車ものは、読んでいて難しいけど、これはそんな風には感じなかった。言葉遊び(会話遊び)は有栖川さんの得意な所だと思う。
ラストの会話は流石というか好きなパターン。良かった。
 
短編集だと、話が簡潔になりすぎたり、遊びの部分が無かったりして好きではないけど、今回は良かった。 
  
9点
2003.12.17 Wednesday 08:50 | comments(2) | trackbacks(1) | 

『幽霊刑事』 有栖川有栖 講談社文庫(再読)

幽霊刑事(デカ)
幽霊刑事(デカ)

ゴーストモノで本格で恋愛モノ・・・と私が好きなジャンルが全部入ってる。私の好きな本なので再読。

巴東署の刑事・神崎達也は気が付くと自分が幽霊になっていた。刑事課長の経堂に殺されてしまったのだ。同僚の須磨子との結婚が決まりかけ幸せの絶頂にあったのに・・・。
同僚の早川にだけ自分が見え、彼女には見えない。自分が殺された理由も分からず、その犯人は捕まらずにいる。。。伝わらない・捕まらないジレンマと、いつ自分が消えてしまうか分からない不安などを抱えつつ、唯一見えて話せる早川と共に、事件の捜査を始める。

犯人自体が先に分かってるので、推理するのには結果が簡単に分かってしまう・・・というか捻りが弱いと思ってしまうが、それだけがメインの話ではなくコメディタッチで早川とのやりとりや、主人公の逸る気持ちの揺れや、切なさが、とてもよく伝わって泣けます。

アリスシリーズには無い面白さ。
この手のモノも書けるのね。。と初読みのときに思った。

何度読んでも泣く。
この話は、犯人当てクイズのイベントに劇で一回上演されたものを小説化したものらしい。
劇・・見たかった‥。っていうか、見たい。どこかで、ビデオ化なんて話は・・・笑

9点
2003.11.09 Sunday 09:14 | comments(2) | trackbacks(1) | 

『虹果て村の秘密』 有栖川有栖 講談社

虹果て村の秘密
虹果て村の秘密

「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」のシリーズ、書き下ろし。

児童書だけど文章は難しい漢字もそのまま使われていてる。
ただルビは沢山ついているし、難しい言い回しがないので読みやすい。
子どもの探偵・密室・アリバイ・ロジック‥と本格ミステリ要素は完璧?。
お約束の展開やラストのヒネリは懐かしささえ感じる。私も小学生の頃好んで読んでいたし、当時の私なら気に入っている筈だ。
子どもたちへのメッセージが沢山詰まっていて、良かった。

後書きを読むと有栖川サンは少年っぽいところがある。
子どもの頃、どんな本に出会い、どれだけ影響されたか、
少年時代の夢を叶えたことの喜びが伝わってくる。
有栖川さん自身、子どもがいないので、この本を読んで
同じように作家をめざす子どもがいたなら‥。と、強く思うのかもしれない。

7点
2003.11.07 Friday 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『赤い鳥は館に帰る』 有栖川有栖 講談社

赤い鳥は館に帰る―有栖川有栖エッセイ集
赤い鳥は館に帰る―有栖川有栖エッセイ集

エッセイ集です。
・・・というか、エッセイ有り、推薦文有り、帯文有り・・・
と何でも有り??ではないが、エッセイの範囲も内容も幅広い。
それだけ、色んなことに興味が有り、それぞれに意見を持っている。

時事のエッセイもあり、リアルタイムで読みたかった気もする。

「言葉が謎になる時」
〜を読んで、自分が有栖川サンの作品に惹かれるのが分かる。
言葉の拘りが、とても自分に合っている。

有栖川ファンでも、買ってまでとは思うかも・・・文庫なら(笑)
文庫落ちしたら・・・もう一度読みたい。
それまでに出てきた作品少しは読めているかもしれない(苦笑)
2003.08.24 Sunday 09:32 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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