3年目を迎えた黄菜の結婚生活は、平和で単調な日々の繰り返しだった。──ある日、階段で足を滑らせて病院に運ばれるまでは…。黄菜は事故が原因で流産してしまい、初めて自分が妊娠していたことを知る。夫は落ち込んだ黄菜を慰めるが、彼女はショックから立ち直ることが出来ない。精神的な後遺症によって、おかしな行動をとり始める黄菜は…。
収録作品:
夢虫・未草/水枕羽枕/快速帆船/サマタイム/ノン・レガート/ダリアの帯/乱切りにんじん
7編の短編集ですがどれもシュールです。
そしてタイトルと内容はあんまり結びつかないのですが、これは作画前に予告イラストとタイトルだけ先に出すからなんだそう。
ただ「ダリアの帯」はとても強烈に出てきます。
「夢虫・未草(ゆめむし・ひつじぐさ)」小学生の主人公の父が突然離婚するという。浮気をしていたのだ。その相手は同級生の男の子の母だというから驚きだ。その日から母は平静なそぶりをしながらも、相手の女性に敵対心を持ち、学校では浮気相手の息子と会わなくてはならない。そんな特殊な環境の中女の子は明るく、でも自分ではどうしようもないことに身をおく事になってしまう。大人の勝手から生まれる子ども達の動揺をコミカルな中にもシュールに描いている。
「ダリアの帯」妻が流産をしてから、だんだんとおかしくなってきた。この妻との係わりを夫の目線から描いたもの。突飛な行動をする妻をどう受け止めていくか。妻の心の内はどうなのだろう。
1回だけ読んだだけではあまりピンと来ない話だが、何度も読み返すうちに見えてくるものもある。
…しかし私なら逃げ出すだろう。この夫は強い。
「乱切りにんじん」急に母がなくなり、父と二人で過ごす事になったが、その父は家のことがまるで出来ない身勝手な事をいう、宇宙人のように思える。高校生の主人公はその特殊な父とのなかで疲れてしまうのだが、その中で見えた父の姿とは。
理解不可能!って思う事も実は父にはまっとうな理由がある。そのことを見つけられるか理解できるのか。うわべだけじゃないものが分かる実は人間くさい物語だった。
若い頃はあまりオーシマさんの作品を読まなかった。
難しかったし、絵が洋風なので、日本人を描いてるとは思ってなかった。
その頃は外国(ヨーロッパやアメリカを舞台に書かれてるマンガが多かった)
読み始めたら何てことない、とても身近な話…しかし、その年齢では受け止められないかも。
今出会えてよかったと思うが、オーシマ作品を見つけるのは難しい。
出会い・タイミングっていうのは難しい。