夢はトリノをかけめぐる
2006年2月18日。直木賞受賞パーティで朝まで騒いだ受賞作家は、一睡もできずに車に乗せられ、成田空港へ。横には、なぜか人間に化けた愛猫が。驚きと感動と疲労(?)にみちた、トリノ・オリンピック観戦旅行が始まる!
前々から冬季スポーツに興味があり『鳥人計画』ではスキージャンプのオリンピック選手をモデルにした作品もあるぐらい好きだという東野さん。また自身もスノボにハマっているそうで『ちゃれんじ?』では、冬場はスノボ三昧そのハマりようも公開しているほど。
長年取材してきた、ウインタースポーツの選手達への取材や過去のデータ、そして最近のオリンピック事情など、今まであまりスポットライトを浴びることがなかった選手や競技そのものを熱く語っている。
この本の中では自身を「おっさん」と称し、愛猫を夢吉という青年に変身させ、二人でウインタースポーツを取材したり、トリノへ行ったりと、あまりスポーツに詳しくない人でも楽しく読めるエッセイとなっていた。
唐突に夢吉クンにオリンピック選手になれ!だの、今回もN木賞はダメだろうとトリノ行きをN木賞発表の次の日にしていたなんて、東野さんダメだった時の事も考えてたのね…と嬉しい誤算に酔いしれながらもトリノに向かってたなんて…面白すぎる(笑)
観戦記部分は、入賞出来なかった競技が多かったこともあり、盛り上がる部分は少ないが、それでもTVで取材されている選手達とは別の顔が見える。今までの競技に対する想いや、なぜウインタースポーツが注目されないのか、また競技人口の少なさへの提言などが書かれている。
奥田英朗『延長戦に入りました』や『泳いで帰れ』に似たエッセイなので、この本がOKだった人にはオススメしたい。
・・・・・・この夢吉クンは公式HPによく出てきたゆめぶんなのかしら??