『いま、会いにゆきます』 市川拓司
『殺人の門』 東野圭吾
『陰の季節』 横山秀夫
『夏休み』 中村航
『Separation』 市川たくじ
『疾走』 重松清
『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎
『恋愛寫真』もうひとつの物語 市川拓司
『仔羊の巣』 坂木司
『青空の卵』 坂木司
<<エッセイ・ノンフィクション>>1
『赤い鳥は館に帰る』 有栖川有栖
みかんのReading Diary♪…本など諸々の感想、あと気になるものをUP。。
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■未完成日記2003■8月分まとめ。
[ その他 ]
<<本>>10
『いま、会いにゆきます』 市川拓司 『殺人の門』 東野圭吾 『陰の季節』 横山秀夫 『夏休み』 中村航 『Separation』 市川たくじ 『疾走』 重松清 『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 『恋愛寫真』もうひとつの物語 市川拓司 『仔羊の巣』 坂木司 『青空の卵』 坂木司 <<エッセイ・ノンフィクション>>1 『赤い鳥は館に帰る』 有栖川有栖
『いま、会いにゆきます』 市川拓司 小学館
[ >>>市川拓司 ]
いま、会いにゆきます とても仲の良い家族だったのに、妻は一年前亡くなった。 特殊な病気を持ち、物忘れが多い僕と、息子佑司が、妻(ママ)のことを忘れないよう、毎日寝る前に死後ママが行ったという、アーカイブの星の事について語り合った。 そんなある日、2人の前に妻の澪が現れた…それも記憶を持たずに・・ 極めて登場人物が少なくてユックリ2人だけの会話が多い。 不器用ながらも一生懸命子育てをする主人公。頼りない父を精一杯守ろうとする息子。その日その日を妻の事を思い浮かべながら、生きている二人は切なくも家族の繋がりの強さを感じる。 主人公のユッタリして、それでいて、別れてもなお同じ人(妻)を愛し続けている。 市川サンのスローラブ 1人の人をゆっくり愛せればイイというのが、涙を誘うことになる。 また、ママの死を、こどもながらに必死に受け止めそれを自分のせいと思い続けた佑司。大人とは違った死への重さを感じている所が更に涙。 恋愛小説+SF風で、ロマンティックな話となっている。。。 あえて、泣ける要素満載!の話だけど、泣かされてやろう・・・と思って読んだ方がイイ。 ちなみに読み始め50Pで既に一回泣いた私は涙腺弱すぎかも。 >9点
『殺人の門』 東野圭吾 角川書店
[ >>>東野圭吾 ]
殺人の門 歯医者の息子に生まれ、人より少し裕福な生活を送っていた和幸。ところが、ある人物に出会ってから、和幸の生活はゆっくり確実に崩壊していく。 暗い。救いがない。一人で不幸を繰り返す、不幸の原因も分かってるのに繰り返す…。 何故簡単に口車に乗るのか分からないが、読み手側をキィーッとさせるのが作家の作戦なら、私はまんまとハマッている。 倉持修という男、本当にズルくて口が上手い、やな人…。 主人公は、いちいち納得したり、反対に絶句してしまう人。言葉に踊らされてる様子は、読んでいてそれこそ「……。」 人が死ぬ・ということに興味を持ち、人を殺すまでの動機をさぐる…。 動機も強く持てないなら、拘わなければいいのに…と私は思うけどな。 読了後は中途半端な気分だけ残った…。 殺意を持つ、それを実行するには、衝動的でない場合このような心理になるのか?? >6点
『陰の季節』 横山秀夫 文春文庫
[ >>>横山秀夫 ]
陰の季節 表題含む四編の短篇連作集。横山氏のデビュー作。 D県警を舞台にした、現場の警察官では無く管理職にあたる警察内部を暴露するような、今までの警察モノとは違う新鮮な印象の作品。 「陰の季節」 警務課調査官、二渡真治は天下りした警察OBが辞めるのを拒んでいる。何故それほどまでに拒むのか・・・上手くいかない人事異動と上司からの突き上げで、OBの事を調査し始める。 「黒い線」 後に『顔』で主人公となる平野瑞穂が突然の失踪。警務課婦警担当係長、七尾友子が彼女の行方と失踪の理由を探る。 全体としてD県警のそれぞれの課を一編に収め、それぞれにエリート課長(部長)が内部で起こった事件を、内々で捜査するというお互いの腹の内を探るような、そこには警察独特の上下間が浮き彫りになる。 またキーとなる人物が、どの話にも現れ、話の裏で見つめている。 この書き方はその後、別の県警のパターンとして出てくるが、この設定と話のスピードが臨場感が出て、とても引き込まれる。 途中、先が見えるミステリにしては弱い部分もあるような気がするけど、個性的でハッキリした主人公、又は登場人物の勢いに、それもあまり気にならなくなる。 上記でも書いたけど、いわゆる事件を指示する立場の人間が主人公なので、事件をどう捜査していくか・・・という過程が読めるのは珍しいように思う。 既に他の本を読んでいて、この本がラストに読んでしまったのがちょっと惜しかった。 ヤハリ出版順に読めばよかったと(苦笑) >8点
『赤い鳥は館に帰る』 有栖川有栖 講談社
[ >>>有栖川有栖 ]
赤い鳥は館に帰る―有栖川有栖エッセイ集 エッセイ集です。 ・・・というか、エッセイ有り、推薦文有り、帯文有り・・・ と何でも有り??ではないが、エッセイの範囲も内容も幅広い。 それだけ、色んなことに興味が有り、それぞれに意見を持っている。 時事のエッセイもあり、リアルタイムで読みたかった気もする。 「言葉が謎になる時」 〜を読んで、自分が有栖川サンの作品に惹かれるのが分かる。 言葉の拘りが、とても自分に合っている。 有栖川ファンでも、買ってまでとは思うかも・・・文庫なら(笑) 文庫落ちしたら・・・もう一度読みたい。 それまでに出てきた作品少しは読めているかもしれない(苦笑)
『夏休み』 中村航 河出書房新社
[ 本作家別な行 ]
夏休み 吉田くんは、妻の友達の旦那。彼とは妻達には内緒で約束事をした。 その吉田くんが、突然置手紙をして、家出をした・・・。 吉田くんの家出によって、2組の夫婦はそれぞれ夏休みをとる事になる。 大人の夏休み・・・つまり連休を取って、色んな事を考え直す。 ・・・ということだと思うが、ちょっと分かりにくかった。 他所の夫婦の事に入り込むのはちょっと・・・という感じかも。 でも、あえて名前を伏せてあるゲームのやり取りは、少し笑えた。 (内輪ネタのようで・・・) 日常の、ふとした疑問を一人になって考えてみたくなる。 働いている旦那方には、そういう時間を取るには、旅に出ないと駄目かな。 意外と一人になる環境はそうやって作らないと出来ない物なのかもしれない。。 >7点
『Separation』 市川たくじ アルファポリス
[ >>>市川拓司 ]
Separation 「Separation」「VOICE」2編収録。 ネットで連載され12万人の人に読まれた恋愛小説。 ドラマ「14ヵ月」の原作。見たことないが忠実に再現されてるようではないみたい。 「Separation」−きみが還る場所−(原題:きみはぼくの) 高校生の恋愛から、若くして夫婦になったが、ある日突然、妻の裕子が原因不明の若返り始める。 原因不明の若返りを2人で受け止め見守っていくと決めてから、とても静かな2人だけの生活が続く・・・妻が段々若返る、その様子と二人の心理の変化が痛々しい。 妻を元に戻す事が出来ずただ見守るだけ・・・。というのは、悲しい展開。2人の会話や思い出の話は泣かされる。 「寂しい」と「切ない」の違い・・・分かります。 「VOICE」 こちらの方が先に発表されていて、これを元に「Separation」が書かれているらしい。若返りはしないが、彼女の心の声が聞こえてくる・・・というもの。 同じ名前の登場人物だが、設定が変えられ、こちらでは結婚もしない。 私は「Separation」の方が好きかな。 静かな文章と独特の会話は、万人に受けるかどうか判らないが、私は好きなほう、、、盛り上がりは少し欠けるような気はするけど じんわり・・・切なさが伝わってきます。 >8点
『疾走』 重松清 角川書店
[ >>>重松清 ]
疾走 主人公シュウジの家族が住んでいる町の崩壊と共に崩れていく、 腕の良い棟梁だった父、頭の良かった兄が次々と壊れていく…その様子を 次男の大人しいシュウジは、ただ見つめている…そして母親も…。 壊れていく家族…一人残され、学校でも「ひとり」になる。 「ひとり」という孤独に絶えながら、15歳という自分で決断できる年齢を迎える。 「沖」で立ち退きに断固反対する教会の神父。 小学生の時、同じひとりを受け止めていた少女エリ。 立ち退きに係っていたヤクザの女アカネ。との、出会い。 シュウジは、たとえ一人でもいいから、人と繋がっていたい、その思いが行動を起こす。 家族の崩壊、イジメ、出会いと別れ。多感な時期の少年の心の動きは、読み手の気持ちも揺さ振る。生活の破綻やハードな性描写など、主人公の年令設定には似合わない話に思えたが、読み終えれば、今の風刺に合わせた話となっていた。 徐々に大人になるシュウジと、周りに流される弱い大人たち。 生まれ育つ家族、環境によって、子どもの生き方を決定してしまう怖さ。 次から次へとシュウジに押し寄せる出来事…は、読んでて辛い。 ほとんど救いの無い話だけど最後まで読んでしまう。 ラスト…やっぱり泣いてしまった。 この年令でこんな経験したら壊れるよね‥。 追記: 好きな内容ではないけど、前半、田舎に、家族に縛られていたシュウジが、東京に出て、自分の意思で動き出したところからは、目が離せませんでした。決して良いシーンではなかったですが。 短い人生の中、ボロボロになりながら、そしてすべてが悪い方向に行ってしまっていても、それでも走り抜いた・・・というところが、心に残りました。 >9点
『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 新潮社
[ >>>伊坂幸太郎 ]
ラッシュライフ 金がすべてという大富豪と画家、プロの泥棒、交換殺人を計画する男女、急なリストラにあった男性と老犬、父の死を機にある男性を崇拝するようになった若い男・・・という、それぞれ最悪の場面を向かえている5つのシーン・・・とそれぞれの話が、ある場所を中心として話が進む。 最初まったく別の話が並ぶのだが、適度な長さ、場面が変わるときに小さくイラストが入っていて、話を混乱させる事もなく、リズム良く進む。やがてニアミスしたり、すれ違いながら話は一つの輪のように繋がる。 一つ一つの話も内容的にはシンプルだけど面白く、ミステリとしても面白い。 またそのシンプルな話が実は複雑な繋がりを持っていた。。というのがとても良かった。 サクサク読める文章とは別にウムと思わせる内容のギャップに驚く。。という感じかな? タイトルの意味、深いです・・。 >8点
『恋愛写真 もうひとつの物語』 市川拓司 小学館
[ >>>市川拓司 ]
恋愛写真―もうひとつの物語 キャンパスの裏手の国道、横断歩道の手前で瀬川誠人はおそろしく華奢な女の子、里中静流と出会った。 静流は誠人の事が好きなのだが、誠人は別の女性に惹かれていた。それでも好きな人の好きな女性まで好きになろうとする静流、不思議な関係のまま大学生活が続く・・・そう思っていた。 一人の女の子が女性へと変わる時は恋をした時・・・と恋愛モノではよくある話だけど、それだけでは終わらないのが泣ける所。 誠人と静流の距離感や友人達との距離感、二人の思いのすれ違いなど、文章自体は静かな流れ(?!)だけど、ラストの章や読了後もう一度話の始まりを読むと更に胸が詰まる。 静流の「人を好きになること」に一生懸命なところが、・・・ウム。良かったデス。 素直に読んで、泣いちゃいましょう。 >9点
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