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■未完成日記2003■6月分まとめ。

[ その他 ]
<<本>>12
『定年ゴジラ』 重松清
『貴船菊の白』 柴田よしき
『平面いぬ。』  乙一
『動機』 横山秀夫
『蝉しぐれ』 藤沢周平
『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午
『被害者は誰?』 貫井徳郎
『対話篇』  金城一紀
『覘き小平次』 京極夏彦
『真相』 横山秀夫
『深追い』 横山秀夫
『本所しぐれ町物語』 藤沢周平

<<エッセイ・ノンフィクション>>6
『待つ女』 浅田次郎
『勇気凛凛 ルリの色 満天の星』 浅田次郎
『勇気凛凛 ルリの色 福音について』 浅田次郎
『民子』 浅田次郎
『勇気凛凛 ルリの色 四十肩と恋愛』 浅田次郎
『勇気凛凛 ルリの色』 浅田次郎

<<ビデオ・DVD>>6(感想なし)
『マイノリティリポート』
『阿弥陀堂だより』
『アカルイミライ』
『セレンディピティ』
『たそがれ清兵衛』
『トリック 劇場版』
2003.06.30 Monday 15:33 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『待つ女』 浅田次郎 朝日新聞社

待つ女―浅田次郎読本
待つ女―浅田次郎読本

〜といっても待つ女ばかりの特集ではなくて、
『待つ女』書き下ろし短篇とエッセイ、対談、インタビューなど…。
自身の事を自分の言葉で書かれている分、作家の姿もよく見える。

「浅田文学を読み解く」書き下ろしで北上次郎サンや菊地仁サン、茶木則雄サンが浅田さんを解説している。
また、渡辺淳一サンとの対談で「短篇小説の<へそ>とは」を話している。
短篇の方を沢山読んでるので、なぜ浅田サンの短篇が面白いのか(泣かせるのか)チョット分かったかな。

7点
2003.06.30 Monday 14:35 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『定年ゴジラ』 重松清 講談社文庫

定年ゴジラ
定年ゴジラ

定年ゴジラ(7章)+帰ってきた定年ゴジラ・・・の短編連作集。

長年勤めてきた銀行を定年退職し、第二の人生を歩もうとしていた山崎さん。
20数年前に引っ越してきたくぬぎ台ニュータウンは、随分変わったようだ。

「定年」という言葉の響きから、重たい話かなと思いなかなか手にしにくかった本だったが、悲壮感はない。散歩友達と一緒に、働いていた頃にはナカナカ見れなかったこの街を回り、また娘達の心配をする。
三人称なのでテーマは少し重めだが、そう感じさせない。山崎さんの実直な性格の為かペースを乱さないせいか、真面目にくぬぎ台ニュータウンを振り返る。今の姿が淋しさよりも次への道を手探りで探していて、和ませてくれる。奥さんとの会話も「あ・うん」のやり取りが、安心させる。

重松さんは「自分の父のことを書きたかった」と言っている。私はちょうど山崎さんの娘に照らし合わせて読んでしまう。
実家はまさにここによく似た所にある。
そして山崎さんは私の父にダブらせて読んだ・・・というか、私は父を家を建てた数年後に亡くしているので、こんな想いで家を購入したのかな・・・と今更ながら気付き思い出させてくれた。
「家族写真」は、山崎さんの大切な物が映しだされていたように思った。

9点
2003.06.29 Sunday 14:36 | comments(0) | trackbacks(2) | 

『貴船菊の白』 柴田よしき 新潮文庫

貴船菊の白
貴船菊の白

表題含む、7編の京都を舞台にした短篇集。

紅葉の名所・神護寺、祇園祭、大文字の送り火など、京都の四季を各編ごとに織り込んだ、情緒あふれるミステリ・・・。

「貴船菊の白」
病床の妻を失ったと同時に警察を辞めた男は、15年前に最初に扱った殺人事件の犯人が自殺した現場に立ち寄る。そこには見知らぬ白い花が置かれていた。
 犯人の妻として15年間生きてきた女性、忙しさを理由に15年構うことなく妻を失ってしまった元刑事とのやり取りが絶妙。

「幸せの方向」
吉田神社の節分祭を見に来た沙羅は、昔編集者をしていた男と偶然出会う。
京都料理をつまみ、酒を飲みながらの昔話・・・お互い昔付き合っていた女性の話へと進む。
 京都らしい風景や料理など、マッタリとした時間の流れと、昔を思い出す時間の流れがとても合っていて、それでいてミステリー色もきちんとある、贅沢な短編。

読み直すと更に色んな話が盛り沢山だということに気付く。短編集ながら、全体通して読んで良くまとまっていると思う。

7点
2003.06.27 Friday 14:38 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『平面いぬ。』  乙一 集英社文庫

平面いぬ。
平面いぬ。

表題含む、4編の短編集。(ノベルズ『石ノ目』より改題)

「平面いぬ。」
わたしは腕に犬を飼っている…という始まりからして、ビックリ。
更に、「そう話が展開してしまうの?」というような不思議な話に、若い世代向けの内容だな…と思ったが、気にせず読めた。

「はじめ」
自分達のミスを隠す為に架空に作った少女、はじめが耕平や木園の前に現れる…。
架空の人物なのに、現実にいるような、そして一緒に遊び成長していく。
はじめは一人の人物として感情もあり、本人も架空の存在に気付いていながらも悩み続ける。彼女の個性にとても惹かれる。

「BLUE」
人間に愛されたいと思う、不恰好な人形の想いが書かれている。
読むほどに切なく悲しく苦しい、淋しさが募るばかり。

8点
2003.06.23 Monday 14:39 | comments(0) | trackbacks(4) | 

『動機』 横山秀夫 文春文庫

動機
動機

表題含む、4編の短編集。
どれも力強く書かれていて、最後まで読みきるまで心揺さぶられる内容も物ばかりだった。

「動機」
貝瀬が起案した一括保管が裏目に出た。犯人を探す為に貝瀬は、色んな考えを思い浮かべては一人一人を疑いの目で見つめる。
警察独特の上下関係、警察官だった自分の父の事や家族の事など、段々追い詰められていく姿がリアルで息を呑むような描写に嵌ってしまう。

「逆転の夏」
ノザキ典礼搬送に勤める山本は、長かった刑務所暮らしからやっと出所、ようやく定職に落ち着いたころ、一本の電話が掛かる。
 この、罪を犯し刑期を勤め無事出所しても、平穏な生活が待っているわけではない。。。というこの設定は、最近読んだ『手紙』『繋がれた明日』に似ているが、そっくりではない。
 短編なだけ、一気に読ませるスピード感はさすが。

9点
2003.06.22 Sunday 14:40 | comments(2) | trackbacks(3) | 

『蝉しぐれ』 藤沢周平 文春文庫

蝉しぐれ
蝉しぐれ

海坂藩の藩士、牧文四郎の半生を綴った青春時代小説。

親友を尊重し、認めながら付き合っていく文四郎。道場での確執や、血の繋がらない父への尊敬、また無念の別れ。隣家に住むふくへの淡くそして実らぬ想いを大事に持ち続けている。
普段はのんびりとした主人公だが、自分の大事としているモノが揺るがされる時、それは父を迎えに行く時や、ふくの消息を追うときなど、ほかの事を置いても駆け出していく一途さは、一人の青年の素直さが伝わる。
 文四郎、親・友達、ふくと、それぞれの道を歩みながら成長、大人になっていく。
そして大人になっても、少年時代から抱いてきた気持ちを大切に持ち続け、その想いがやっと伝わった時、それぞれの気持ちが繋がっていたのだと、それを信じてまた生きていける。

時代小説だけど、読みにくさは全然感じない、むしろ時代小説だからこそ、照れずに素直に読める。文章自体もほぼ現代モノと変わらず、抵抗なくスラスラ読めるが、一気に読んでしまうのは勿体なく、ゆっくり楽しみたい話だった。

9点
2003.06.20 Friday 14:41 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午 文藝春秋

葉桜の季節に君を想うということ
葉桜の季節に君を想うということ

何でもやってやろう屋・成瀬将虎は、朝宮さくらと運命的な??出会いをするが、別でキヨシに頼まれて着いていった先で、老人を対象とした悪質な霊感商法事件についての依頼を受けてしまい、巻き込まれる。

最初厚い本でどうしようかと思ったが、とても話が読みやすく、そして飽きることなく一気に読めた。話的には現在と過去が交互に出てくるが話が混ざるという事はなく、とにかく読みやすく、スピード感のある話の進め方だった。
だからこそ…前評判もあり、疑い深く読み始めたつもりが、すっかり話のペースに乗ってしまい・・・騙された。(実は途中で気付きだしてたけど、ラストまで読んでみると予想以上だったので、やっぱりビックリしてしまった…(笑))
楽しめた本格ミステリ。。。もう一回、ネタが分かってても読み直したくなる作品だった。

9点
2003.06.15 Sunday 14:42 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『勇気凛凛 ルリの色 満天の星』 浅田次郎 講談社文庫

勇気凛凛ルリの色 満天の星
勇気凛凛ルリの色 満天の星

「週刊現代」で1997年11月〜約1年ほど書かれたエッセイ集。
四年間続いたエッセイ『勇気凛凛 ルリの色』シリーズの一応の最終刊になる。

頼まれればイヤとは言えず、原稿をあげる為拉致されたり、サイン会に全国回ったり、取材旅行と称して海外旅行に行ったり、買い物しまくった話あり…。とにかく本人自体が面白いキャラクターとなってる話が多かった。

『福音について』で直木賞受賞して、環境がガラリと変わってしまったことが書かれてたが、受賞する前の年(つまり賞に選ばれずに落胆したその年)に、シャニムに書き上げた原稿が、直木賞作家になったのを、時を同じくして次々出版されて、取材・サイン会・TVの出演など、原稿を書く以外でも多忙っぷりは気の毒なぐらい…。 だけどサイン会の様子や旅行の様子、編集担当者とのやりとりはヤッパリ×2笑える。

日常でも面白いエピソードがあったり、取材や旅行だとアッチコッチ飛び回っていたにもかかわらず、出来上がってくる作品(この頃は『鉄道員』『月のしずく』『見知らぬ妻へ』『霞町物語』『天国までの百マイル』あたり)はどれも良い作品ばかり。。

受賞してから次の方が選ばれるまで一年間、その重いプレッシャーのなかにいた事もラスト辺りにチラリ…。新しい方が決まった時「やっと肩の荷が下り、今、作家になったようだ…」。
あとがきに、「このエッセイは売れない物書きが小説家になるまでのサクセスストーリーにしようと思った」と書かれてある。まさにその通り、全四巻の物語になっている。

8点
2003.06.14 Saturday 14:43 | comments(2) | trackbacks(0) | 

『勇気凛凛 ルリの色 福音について』 浅田次郎 講談社文庫

勇気凛凛ルリの色―福音について
勇気凛凛ルリの色―福音について

「週刊現代」で1996年10月〜約1年ほど書かれたエッセイ集。
これで三冊目のエッセイ、スタートから三年経って更に多忙になり、忙しいが故のエピソード満載、また好きな競馬やタバコ、家人とのやり取りなど、やっぱり楽しい浅田さんの一面が見えたエッセイだった。

今回の連載(福音に収められてる)間に、直木賞を受賞されている、その経緯も納められている。
色んな職業??を経験しつつ、少年時代から「小説家になりたい」とずっと思い続けて、このエッセイにも綴られてきた。一つ小説家になるということを達成し、直木賞を受賞するという事が作家として認められたと…。この賞への熱い思いがとても伝わってきた。
(前年、候補にのぼりながら選ばれなかった時の落胆の様子も書かれていたので、直木賞に選ばれた喜びは更に伝わってくる)

だんだん人気作家として多忙となりつつも、自分の作品はどれも自信がある(このエッセイも)。
私が浅田サンの作品にとても惹かれるのは、書かれる事がとても素直だ、と感じる…それは作家さん自身が映し出されてるからだと思う。

8点
2003.06.13 Friday 14:44 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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