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『ひなた』  吉田修一 光文社

ひなた
ひなた

春夏秋冬に分かれた章に、昔はヤンキ―をしてたが今春から有名ブランドの広報として入社した20代前半の女性新堂レイ、レイの同級生で彼氏だがまだ大学生の大路尚純、尚純の兄の妻でファッション雑誌の編集部に勤める大路桂子、尚純の兄で桂子の夫である銀行員の大路浩一の4人がそれぞれの目線で順番に描かれた物語が時間を繋いで書かれている。

夫(彼)や妻(彼女)としての一面…とは別に仕事人としての自分とそれとは別のプライベートの自分という部分をしっかり持っている4人。
しかし仲が良く話も良く判る家族やカップルという部分もありながら、決して相手には言わないし分かり合おうともしない部分を確実に持っている。
話を読み進めると表面的に仲が良いだけ、という薄っぺらい関係のように思えるのだが、決してそうではない。二面性があるわけでもないのに、もう一人の自分が居たりする。何故そんな自分が居るのかは、最後まで読めば伝わってくるはず。

女性として桂子の行動には賛成出来ない部分がある。
でも…妻として仕事人として家族としての彼女は完璧だしカッコイイ。だからこそたった一つイケナイ事もしてしまっている。これは私は好きでは無いが、彼女は人を嫌いになれないんだろうな、だからこそそんな部分が良い所で悪い所なんだろうな、なんて思う。

とっても淡々に描かれている割に人物像はとても良くて、どの人もいい人なんだろう。
スタイリッシュと言う言葉は合わないかもしれないが、それぞれがしっかり描かれていてとても独立した考え方を持っている。そんな人たちが集まればこんな感じになるのかもしれないと思わせる。
かっこいい物語ではないし、特別なこともきっと見た目的にはわからないのかもしれない。
でも静かに春夏秋冬が過ぎるなかで、大路家族が大きな転換期となっていく様子がとても自然に描かれている。尚純と浩一の両親もドラマを持っているのでそこも見どころとなっている。

好き嫌いは分かれそうな物語であると思うけど…。
私は結構好きである。

9点

女性ファッション雑誌『JJ』で「キャラメル・ポップコーン」というタイトルで連載されてた作品を作者自身がタイトルを変更、そして大幅加筆・訂正とされた作品…だそうです。(連載時のは読んでないので違いは全く判りませんが、装丁を見る限り、今の流行を行くような感じではないですよね。帯にある『JJ』にて連載…って言葉がミスマッチな感じ。
私だけがこういうタイトルに変更された理由が分からないのかしら…汗

作品に出てくる女性には高級ブランドHの広報に、女性ファッション誌の編集者と普段の吉田さんの作品には出てこない女性のタイプだけど、何故か安心して読めたのは不思議だなぁ♪
2006.02.05 Sunday 17:30 | comments(4) | trackbacks(1) | 
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2020.07.07 Tuesday 17:30 | - | - | 
藍色 (2006/06/22 5:38 PM)
はじめまして。
リンクをたどってうかがいました。
同じ本の記事をトラックバックさせていただきます。
ふだん意識せずに使い分けていることを、こうして小説で読むと日常がドラマチックに感じられるような気がします。

こうしていろんな人のブログを読ませていただいていると、自分では気がつけない発見がありますね。
コメントやトラバ返しなどいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
みかん (2006/06/23 9:55 AM)
藍色さん、はじめまして。
TB&コメントありがとうございます♪
……あはは、上の文を読んでみると随分変な感想になってましたね。少し変更しました。

>日常がドラマチックに感じられる
そうですね…きっと平凡で普通の家庭という表現で見られている夫婦…実はどこもドラマチックなのかもしれません。。
そういうところが面白いと感じた一つになってます。

また藍色さんブログにTBしにお邪魔しますね。
藍色 (2006/06/23 6:39 PM)
みかんさん、ご訪問、コメント、トラバありがとうございます。
また合う記事がありましたら(たぶん過去分になっちゃいますけど)コメント、トラバさせてさせていただけるとうれしいです。
これからもよろしくお願いいたします。
みかん (2006/06/23 11:50 PM)
藍色さん、こんばんは♪
合う記事があれば、こちらからも少しずつTBさせて頂きますね。(コメントは恥かしがりやなのでなかなかできないのですが…/苦笑)
古い記事でも結構です。
繋がってこそブログも楽しくなると思いますので。。

こちらこそ、宜しくお願いします(^^)♪









ひなた、吉田修一
カバー写真は安村祟。 1996年「Water」で文学界新人賞最終候補。1997年「最後の息子」で、第117回芥川賞候補。2002年「パレード」で第15回山本周五郎賞受賞。「パーク・ライフ」で第127回芥川賞受賞。
| 粋な提案 | 2006/06/22 5:38 PM |