図書室の海
私はあまり恩田さんの作品を読んでいなかったのですが『夜のピクニック』ではヤラレタと感じ、その番外編「ピクニックの準備」が納められているということで手に取ってみました。
10編の短編集。
アンソロジーで発表された作品が数編あるのでホラーやSFタッチの話が多く、ちょっとイメージとは違う印象を持った。が、長編で既に出ている作品の番外編や予告編としての短編もあったので、一種のタイムトリップ的な感じで、全体の纏まりとしては統一出来ていると思う。
ということで「ピクニックの準備」は面白く読めた。勿論本編にもその経緯は書かれているのだが、読了後にこの短編を読むと、このピクニックに掛けた想いがまた伝わってくる。本編に更に深みを増す作品となっていてとても嬉しかった。
「図書室の海」は『六番目の小夜子』の番外編となっているそうだ。私は未読なのだが、この短編を読んで是非『六番目〜』を読んでみたいと思った。ひょっとしたらネタバレ部分を読んでしまってるような気もするが…この魅力的な登場人物を是非見て見たいと思った。
「睡蓮」は『麦の海に沈む果実』とリンクしているそうだ。勿論読んでないからイマイチピンと来ないが。
きっと恩田さんファンにとってはとっても楽しめる短編集に違いない。
ひょっとして私はこの本を読む前にもっと別の作品をチェックしておかなければいけなかったかもしれない…。でも、この本から恩田サンの作品を読むきっかけになるだろうと…多分そうなるだろう。
また数年後この本を引っ張り出せるよう、本棚の手の取りやすい場所にしまっておこう。
>8点
わたしも恩田さんの作品はまだまだ読んでいない方が多いので、かんばって追いつかねばと思うんですけど、新刊も出ちゃうしね。
全部読むことはできるんだろうか?