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『銀河祭りのふたり―信太郎人情始末帖』 杉本 章子 文藝春秋

銀河祭りのふたり―信太郎人情始末帖
銀河祭りのふたり―信太郎人情始末帖

許婚がいながら、吉原の引手茶屋の女将・おぬいとの恋を選んだ美濃屋の跡取り息子・信太郎。長い確執の末に勘当が解けた矢先、大地震で店が大きな被害を受け…。 夫婦の情愛、家族の絆を描いたシリーズ完結篇。


信太郎人情始末帖シリーズの7冊目になり、最終巻となります。
長いようであっという間のラスト。
1巻は許婚がいながら吉原引き手茶屋の女将・おぬいとの出会いから始まるのですが、この頃は信太郎も落着かないのですが、そこからご美濃屋を継ぎ、困難を乗り越えながら成長していく…。

とにかく周りの反対を押し切ってつれあいとなったので、色々な試練があり、そのつど二人は周りの人達に助けられながらやっと認められてきた信太郎だったのですが…。
この巻になって、また新たなことが…。それが結構衝撃的で危機的な状況になるという、また懐かしい人が出てきたりと、最後にまた一波乱が起こるのです。

いやぁ…納得の終わり方です。
信太郎の一生を描いた作品ではなく、ほんの数年を描いてるだけなのですが、とても濃い年月を見せてもらったようです。

物語としては完結してしまったので寂しいのですが、是非シリーズを通して読んでもらいたいと思います。

10点

信太郎人情始末帖シリーズ7作
『おすず』
『狐釣り』
『水雷屯』
『きずな』 
『火喰鳥』
『その日』
『銀河祭りの二人』  
2009.06.13 Saturday 23:45 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『その日―信太郎人情始末帖』  杉本 章子  文藝春秋

その日―信太郎人情始末帖
その日―信太郎人情始末帖

光を失いつつ、美濃屋の主として忙しい日々をおくる信太郎と、その身を案じるおぬい。ある日、江戸を大きな揺れが襲った。崩れる町、失われるいのち、それでも揺るがぬかけがえのないもの。家族の幸せとは何かを問う時代小説。

信太郎人情始末帖シリーズの6冊目になります。
目が見えなくなった信太郎の元でどうしても
お世話をしたいということで、おぬいは女中となり
信太郎を守ろうとするのですが…。
それにしてもおぬいさんは、機転がきくというか、
でも自分の考えを曲げない女性なんですね…。
強い女性です。
それにくらべ信太郎はしっかりしてるけど熱くなったり。
その頼りない部分を周りがしっかり固めてくれている。
そんな中、まさに〈その日〉がやってくる。
〈その日〉を境に良い事もあれば別れもある…。
平安な日々はなかなか訪れないものだが、その中でも
必死に逞しく生きている姿は本来あるべき姿で
見習わなければならないのかもしれない。

この本を読んでこれで最終話かと思ったら続きがあるとのこと。
なかなかハッピーエンドにはならないのかしら…続きは気になるが
心休まれない展開にドキドキしっぱなしです。

8点
2008.09.29 Monday 23:16 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『火喰鳥―信太郎人情始末帖』  杉本 章子 文藝春秋

火喰鳥―信太郎人情始末帖 (信太郎人情始末帖)
火喰鳥―信太郎人情始末帖 (信太郎人情始末帖)

信太郎の目が見えなくなった。美濃屋に帰ってきた勘当息子の悲劇を救うべく、おぬいは引手茶屋を捨て、女中となる。江戸の空気感をまぶたの裏に浮かびあがらせる、「火喰鳥」「雪暗」など全5編を収録した連作時代小説。

「信太郎人情始末帖」シリーズの第5弾です。
表紙の雰囲気がガラリと変わりましたね…気付かず、随分前作から間を空けてしまいました。
前回実父が亡くなり喪に服していましたが、更に信太郎に不幸が襲ってきます。何故こんなに試練を与えるのでしょう。
お互いの過去が二人が夫婦になるのを、協力してくれる者もいれば頑として拒む者もいる。次から次へと問題や悩みが出てきて本当にハラハラします。
けれど信太郎やおぬいなど、負けてません。スジを通し頑張る姿は応援したくなります。
それにしても、この二人がどうなっていくのかまるで想像できません。

私の数少ない読んでるシリーズ物の一つです。
既に6冊目も出てるようなので早速読みたいと思います。

9点
2008.08.15 Friday 20:41 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『きずな―信太郎人情始末帖』 杉本章子 文芸春秋

きずな 信太郎人情始末帖
きずな 信太郎人情始末帖

5編からなる短編連作集。信太郎人情始末帖シリーズ4巻目。

おぬいがまだ二十二歳のころ、不忍池で知り合った男の事を今になってある男が強請りにきた。手紙には美濃屋の言葉もあり、おぬいは待ち合わせ場所に出向く。この傍らで、信太郎が勤める河原崎座の笛方をつとめている磯貝貞五郎の兄が急に亡くなり、こちらも家を継ぐことになった。しかし兄の死を不審に思った貞五郎は兄を殺した犯人を突き止めようとする。

絶妙な話の流れ、登場人物の動きがとてもイイ。相変わらず頑固におぬいは信太郎とは一緒になれぬと言い張るが、信太郎の父、卯兵衛は内証勘当をしながらも、おぬいや子どもを気に入り、なんとか上手くいくよう、信太郎なみにお世話を焼く。更に自身の体調も芳しくなく、早く二人が美濃屋へくることを願う。これは妹おゆみの縁組にも関係してくるという・・。
段々複雑になってきてるが、どの事もどう展開していくのか楽しみ。

本当、信太郎はみんなから守られてる。そのくせ、自分の事はほったらかしで、気の効いたおせっかいを焼いている。そこが信太郎の良さなのだが…まわりはヤキモキするだろうな。。。

目が離せなくなってきたこのシリーズ。次作が待たれる。

9点
2005.04.04 Monday 21:03 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『狐釣り―信太郎人情始末帖』 杉本章子 文芸春秋

狐釣り―信太郎人情始末帖
狐釣り―信太郎人情始末帖

5編からなる短編連作集。信太郎人情始末帖シリーズ3巻目。

大店の跡取息子だった信太郎だが、まだ内証勘当も解かれてないうちにおぬいのと間に子どもを授かり、父親となった。
おぬいの連れ子と交わした言葉はさすが、子どもの心を捉えてる優しさが溢れていて良かったが、大店にすんなり戻れなくなってきていて、おぬいとの関係は更に難しくなっている。また信太郎の幼なじみの元吉が好きになったお袖は行方知れずになっている夫がいた。その夫はなにか事件に係わっているようで、はっきり区切りがつかないとお袖とも一緒になれない・・・そう思い元吉はその事件を探り始める。

今回は元吉がメインの話となっているが、一つ謎を紐解いていくうちに、この三年陰に隠れていた事実が浮かび上がってくる。元吉やお袖、元吉の母親や信太郎の思いが重なりつつも、事件は思わぬ方向に進んでいく。人ひとりの想いで物事が進むことはない、誰かに頼り助け合い、誰かに繋がっている。登場人物一人ひとりが大きな物語を持っていてそれが合わさって毎日がある。信太郎や元吉は言葉少ないながらも行動が強かったり優しかったりする。今回の事件でこの二人はどう成長するのか…次作『きずな』も楽しみである。

8点
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2005.03.27 Sunday 21:13 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『水雷屯 信太郎人情始末帖 』 杉本章子 文春文庫

水雷屯 信太郎人情始末帖
水雷屯 信太郎人情始末帖

5編からなる短編連作集。信太郎人情始末帖シリーズ2巻目となる。

表題「水雷屯(すいらいちゅん)」から
 信太郎の義兄・庄二郎はこのところ良くないことが続いた。占い師には「水雷屯」(何もかも多事多難)と出たと言われたが、本当に庄二郎の妾の家で手形を奪われ、妾にも逃げられた。困り果てた庄二郎は内緒勘当となっている信太郎に相談を持ちかけるが…。

信太郎が内緒勘当となる経緯は 『おすず』 で出ているが、今回は信太郎を取り巻く人物のの繋がりがよく分かる話となっている。姉夫婦の事や、信太郎の実家・呉服太物店美濃屋の様子や事情も出てきている。また信太郎の妹ゆみと植木職人の巴之介との仲。なにより信太郎とおぬいの間にも進展があった。
常に抱える悩み…を押さえつつ、義兄や幼友達の元吉の為に奔走する信太郎。時代の流れに徐々に巻き込まれながらも、その中で生きている登場人物達はとても生き生きしている。

次作『狐釣り』が楽しみだ。

7点
2004.09.21 Tuesday 20:12 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『おすず 信太郎人情始末帖』 杉本章子 文藝春秋文庫

おすず―信太郎人情始末帖
おすず―信太郎人情始末帖

表題を含む5編の短編連作集。

呉服太物店美濃屋の跡取だった信太郎は許婚が居ながら、ふとしたはずみでおぬいに身を持ちくずし、店の暖簾の手前、内証勘当の身となる。そのため、河原崎座の大札久右衛門の下で働くことになったのだが、突然信太郎のもとに許婚であったおすずがやってきた。が、その後おすずが事件に巻き込まれ亡くなる。
もし、許婚のままであったら、もし会いに来た時そのまま帰さなければ事件に巻き込まれる事がなかったと、自分を責め事件の真相を明かそうとする。


呉服太物店の道楽息子が、おすずへの罪滅ぼしから始まる色々な事件や、芝居小屋での騒動、おぬいとの関係など、信太郎22歳から始まる人情物語となっている。
取り立てて何が出来る人でもなく、気性も荒いわけではない不器用な主人公だけれど、とても惹かれる。勘当の元となったおぬいとは、切れない仲になったまま。そのおぬいも負い目を背負って生きていかなければいけないのだ。
「差し金」を読んで、改めてその場限りではない優しさに触れられ、主人公の成長を見て行きたいと思った。

この作品は【平成十四年度中山義秀文学賞受賞】している。
この賞は歴史文学が対象となるもので、このシリーズも幕末、嘉永四年(1851年)から始まっている。
歴史が変わろうとする時代に主人公はどう生き抜いていくのか。
『おすず』の後、『水雷屯』『狐釣り』『きずな』とシリーズはまだ続いている。。

9点
2004.08.06 Friday 21:03 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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