ひどい感じ―父・井上光晴
井上光晴さんという作家は知っていたけどどんな作品を書かれていたのかも知らなかった。だから井上荒野さんときいてもピンと来なかったが、有名な作家が父という、特別な環境で育ってきた荒野さん。
父の死後、父の自筆年譜に沿って生い立ちを調べるうちに、どうもその年譜は事実は違うことが多いことに気がつく。親戚の伯母さんも、父の死後になって語るようになった。そこには母も知らないこともあったり…。
小説家とは虚構を書き上げるのだが、自分自身も虚構の一部としてしまう…それが全身小説家・井上光晴なのでしょうか・・
荒野さんの幼い時の記憶から父との思い出や父の作品と照らし合わせたり、また荒野さんがその生い立ちを紐解くことで、改めて井上光晴の偉大さや凄さ、そして父をさらに尊敬することになる。
面白い父でユニークだったけど、家族を大事にしていたんだと、死後になって気付かされる。亡くなっても自身も小説家であり続けていることに驚きを感じ。この家族の暖かさを感じた。
この作品中に出てきた荒野さんの『もう切るわ』…これも早く読みたいな〜