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『いつかぼくは一冊の本を書く』 盛田隆二 フレーベル館

いつかぼくは一冊の本を書く
いつかぼくは一冊の本を書く

1990年にデビューをしてから1996年に会社を退職するまでのあいだに発表したエッセイ・書評をまとめた、 初エッセイ集。
小説を書くためのハウツー本ではないが、小説家を目指す人には励みになりヒントにもなる本。

大きく4章に分けられている。
.音楽と自分、影響を受けた作家やミュージシャン、中学生の頃にあった学園闘争、盛田さんがよく描かれる60〜70年代、自身がどういう体験をしてきたか…盛田さんが書く小説の基となった時代が書かれていて、この章を読むと作品の雰囲気が理解出来る。
.小説or漫画の書評的エッセイ。たくさんの本を読んでいる事は知っていたけど、どれも丁寧にそして小説の狙う部分を上手く見抜いていてそれを考察している。残念ながら私が読んだことがある本は数冊しかないけど、それでも面白く読めた。
私が特に興味を持ったのは大友克洋『AKIRA』の部分。これは過去と近未来を描いているのだが、盛田さんの作品にも共通するのかな…と感じた。
.この章が表題に繋がるところ。なぜ小説を書こうと思ったのか、会社員と小説家の二束のわらじを履いていた頃の盛田さんの苦悩や葛藤が書かれている。サッカー少年だったころからまたデビュー作を書き上げるまで、この本を読み進めるうちになるほどと、そして、何冊が作品を読まれた方には、『ストリートチルドレン』や『ラストワルツ』がどうして生まれたのか分かる。
後、雑誌社を辞めた当日から一週間の日記と盛田さんが作家さん達へ送った手紙、もしくはメールが紹介されている。
.短編…?。。

私は『サウタージ』『ラストワルツ』しか読んでないけど、この二冊も長い間構想があっての作品で、エッセイの中でも何度か触れている。発売は10年ほど前なので作品の初期の事しか書いてないのは当たり前なんだが描きたいものは既にハッキリしていて、どういうふうに小説として出していくか…それが作品の違いになっている気がする。
うむ…『ストリートチルドレン』も読まなくては。。
2005.07.05 Tuesday 17:57 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『ラスト・ワルツ』 盛田隆二   角川文庫 

ラスト・ワルツ
ラスト・ワルツ

『夜の果てまで』『サウダージ』に続く、恋愛三部作。

現在1985年、ちょうど30歳となった僕の前に、12年前、僕が18歳の時3週間一緒に居た花菜子さんが現われた。

彼女と会ったことで、その頃のことを思い出した…。主人公は懐かしくて過去の自分達に酔いしれている。現在、お互い12年歳をとり、大人になっていたはず。
なのに段々と崩れるように落ちていく二人。
花菜子さんへの接し方も愛し方も普通ではない。
彼らしか分からない愛し方に共感できるか出来ないか、そんなことは関係なく彼らでしか表現できない世界をどう受け止めるか。
この時代がそうさせるのかもしれないが、私はこの時代は知らないのでよく分からない。
理解しがたい世界が書かれているが、現在と過去を使って登場人物達が変わっていく様子がとてもリアルだ。矛盾していることを書いてるけど、現実と妄想が入り乱れ、混乱する。読んでいて酔ってくる。それが主人公の混乱に似た感じを読み手に与えてくる。
主人公の切なさや苦しさは伝わってきた。

7点
2005.04.15 Friday 20:51 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『サウダージ』 盛田隆二 角川文庫

サウダージ
サウダージ

「サウダージ」とは、
ポルトガル語で失われたものを懐かしむ、さみしい、やるせない想い。

1990年の夏の終わりの8日間を描いた物語。
生まれたときからインド人の母に育てられたが、途中から日本人の父と日本で暮らすことになった。その後、後妻となった日本人の母とも距離を置く関係のまま大人になった裕一。幼い頃、母と暮らしていた日々を思い出しながら、また幼い時のトラウマからか、女性を信頼する事が出来なくなった。
バブルも終わるという時代背景。いろんな国の外国人、人材派遣会社に働く主人公、インドに残る母を思う気持ちとが上手く合わさって、この話サウタージそのものを描いている。

裕一の優しすぎる部分や不器用なところが、日系2世の価値観の違いなり、母への想い・過去のトラウマだったりするのだが、何故かその部分がとても謎めいていて、回りには魅力的にうつる。
女性に対しての接し方が判らない裕一の周りには、それぞれ国も年齢も違う女性達も居る。
主人公がこの8日間で気づいた事は何か、ハッキリとした答えは出ていないが、最後に行動しようとする事が、解決への一歩になる。

…読了後、ジワジワくる作品。

8点
2004.11.28 Sunday 16:54 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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