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『サンネンイチゴ』 笹生 陽子  理論社

サンネンイチゴ
サンネンイチゴ

中学2年生のナオミは言いたいことがなかなか言えないけど、心の中では「こう言ってやりたい」とか考えてたりする女の子だ。だが、茶髪でトラブルーメーカーのアサミと仲良くなってから、彼女の生活は徐々に変わり始める。

確かにテンション高めの先生にウンザリしたり、クラスに一人は居るガリ勉と不良に、妙に絡まれたりする子って居るなぁ。また、自分の意志とは関係ないところで話しが進んでアタフタするあたりは結構リアルだ。
大人しくて行動に起こせないナオミが徐々に自分自身を出していく。それは友達でいたいという気持ちがナオミの背中を押す。
変に思いつめない彼女の本来の明るさがコミカルで面白かった。

しかし、リアルとは言っても実際の14歳の学校生活は、こんなに明るくノンビリしてないだろうな…楽しい中でもピリピリ感は常にある気がする。
こんな中学生活が実際に送れたら良いのにね。。

>8点
2005.12.28 Wednesday 05:45 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『楽園のつくりかた』 笹生陽子 角川文庫

楽園のつくりかた
楽園のつくりかた

都会ではエリート中学生として勉学に勤しんでいた優は中2とは思えないほどオトナでクール。父は海外へ単身赴任中だが、急に父方のおじいさんの面倒を見るために、僕の意見は完全無視で、母と二人、ド田舎に引っ越してきた。
受験戦争とは全くかけ離れた生活、中学校の分校で同じクラスの3人はみんな訳あり。こんな中周りにペースを乱されつつも必死に抵抗し何とかやっていこうとする優の奮闘記となっている。

180度生活が変わってしまった優が、田舎でお爺さんや同級生たちとコミュニケーションが取れない中で頭をフル回転させている姿は生意気というより必死さがビシビシ伝わってくる。また母と僕との温度差も後半の展開で明らかになってくる。
都会に居た時の仲間から言われた言葉や同級生達の言葉はとてもストレート、もしかしたら既に何度か言われてるのかもしれないが、その言葉を受け止めた優の姿にちょっと感動。後半に出てくる人物がサプライズ的な登場でビックリ。これが伏線だったのねと展開に驚かされた。

9点
2005.10.18 Tuesday 06:00 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『バラ色の怪物』 笹生陽子 講談社

バラ色の怪物
バラ色の怪物

遠藤トモユキは母子家庭の中学二年生。とくに目立つことも無く過ごしていたが、二学期の朝礼の時に吉川が校舎の屋上からビラを撒いた。その様子をみて立ちくらみを起こし倒れ愛用の眼鏡を壊してしまう。そんなことは母には言えず友達からバイトを紹介してもらい、また眼鏡が無いあいだはぼやけて見えるため眼帯をして見やすくしておいた。。
友人に紹介してもらったバイト。吉川との出会いからいつもとは違う生活を送るようになったが…。

段々親とも離れ、自分で判断できる年頃。ちょっとヤバめだけど親には言えない。大人びているようでトレカをネットオークションにかけてお金を稼ぐ…。大人からは小銭集めのようでも中学生では大金の世界。中学生ながらちょっとダークな部分に踏み込んでいってしまう遠藤をハラハラしながら読んだ。
現実とネットやトレカの非現実な部分。一人で考えるうちに一人追い詰められている遠藤。眼帯を外した時に見えた世界は?見えなかったものが見えたのか、隠していた物が見えてしまったのか。

奇抜な格好をしている吉川に何を感じ取ったのか。遠藤は成長出来たのか、それとも非現実の場所にいるのか。
ちょっと中途半端な終わり方だったけど、、なにかを投げかけてるのかな?バラ色の怪物とは…誰にでも心の中に飼っているもの?それを出してしまうのかそのまま留めておくのか。。。ラスト吉川のことを遠藤はどう見ていたのか??気になるところ。

8点
2005.07.13 Wednesday 17:42 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『さよならワルガキング』  笹生 陽子 じびき なおこ(絵) 汐文社

さよならワルガキング
さよならワルガキング

小学4年の和哉はワルガキングのトレカが欲しいばかりに母親の財布から300円を盗んだ。が、すぐにバレてこっぴどく怒られるし、兄にはからかわれた。反抗してライターを持ち家を燃やしてしまうと言ったそばからタイミングよく父親が帰ってきて、また怒られてしまった。盗んだ罰で補習塾に入れらえるが、そこでも怒られ自習室行き。しかしそこには大きなマスクをはめた男の子がいた。

この本は完全に児童向けに書かれていますが、子どもにも読みやすくイラスト入り、大人だと30分ぐらいで読めます。

このころに思うカッコイイというのは見栄えだったり、喧嘩の強さだったり、年上の人と仲良くなったりするという、見た目や強さがそのままカッコイイになっている。しかし本当にそれがカッコイイことなんだろうか?カッコイイと思っていた隣のお兄さんの姿と橋本櫂との間で生まれる友情…。ラストは良かったなあ。
こうやって自分で気付いていけると、しっかり受け止められるんだろうね。。

8点
2005.07.08 Friday 17:51 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『ぼくは悪党になりたい』 笹生陽子 角川書店

ぼくは悪党になりたい
ぼくは悪党になりたい

僕はエイジ、17歳。父親は不在、奔放な母と腕白な異父弟・ヒロトと3人で平凡に暮らしている。毎日家事全般をこなす高校生が「平凡」かは疑問だが。ある日弟が病気で倒れたのを境に、僕の日常が少しずつ崩れてきて…。

とてもスピード感があって一気に読めた。
これだけ自由奔放な親を持てば、自然とシッカリするものなんだろうか?
周りからは、普通の良く出来た高校生にみえたであろうエイジが、弟の病気の一件から、エイジにとっての普通の生活が少しずつ変わり始める…それは、やはり他の人からは何の変化も無い一高校生のままだが、彼に次々と試練が待ち受けていた。
年齢よりも大人びたエイジ、しかし等身大の彼なりに大人ぶっているあたりが面白く、それゆえに無理が生じて悪循環を招いたり…。小心者で優柔不断な彼に感情移入して読んでしまった。
登場人物すべてが物語の中で変化していく。エイジも弟も羊谷も、そして家族も。
青春のほろ苦い1ページ?が読める作品(笑)

9点
2005.07.04 Monday 17:59 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『きのう、火星に行った。』 笹生陽子 講談社文庫

きのう、火星に行った。
きのう、火星に行った。

小学6年の拓馬はスポーツも勉強もそつなくこなせるのだが、何をやってもつまらなく感じてしまう。
あるホームルーム中に居眠りしていたら、体育大会の選手に選ばれてしまった。それが憂鬱のタネなのだが、病気治療のため何年も田舎で暮らしてきた弟健児が、戻ってきたのだ。。。

やる気の無い子どもってよく居る。ウザいとかめんどくさいとか、つまらないとか…。またつまらないと言って怒ったりする。
これって大人にも居る。よく居る。
大人の世界に限りなく近い子どもの社会構成が描れている。

拓馬も、冷めた子どもで大人びていて弟にも冷たいし友達にも一線を引いた部分がある。この拓馬を周りはどんな風に受け取っているのか、また拓馬がどう成長していくか。
何でも出来るが故に一人でいても大丈夫=他の人は関係ないという考えになってしまっている拓馬に、父の一言(私はこの言葉が強烈に残った)や弟・友人の態度に表れ始める。
そのことに拓馬が感じ変化していく様子が、とても良かった。
途中まで本当に厄介な子どもだな、と思っていたので尚更だ。
子どもが成長していく姿がリアルに描かれていて、心に突き刺さる。

子どもにも大人にも読んで貰いたい本。

9点
2005.06.21 Tuesday 12:11 | comments(0) | trackbacks(1) | 
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