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『濱地健三郎の霊なる事件簿 』 有栖川有栖 角川文庫

『濱地健三郎の霊なる事件簿』

 

探偵・濱地健三郎には鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。彼の事務所には、奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の刑事も秘かに足を運ぶほどだ。ホラー作家のもとを夜ごと訪れる幽霊の目的とは?殺人事件の被疑者が同時刻に複数の場所にいたのは、トリックか生霊か?生者の嘘を見破り、死者の声なき声に耳を傾ける心霊探偵が、驚くべき謎を解き明かす。ミステリと怪異の融合が絶妙な、新シリーズ!

 

心霊探偵…というのがいいのだろうか。新たなシリーズの始まりですが…私はこれはOK(笑)。安楽椅子探偵のような濱地と助手の志摩の掛け合いも面白いし短編集だし怖くないホラーなので。。結構面白かった。本格を保ちつつライトな感じがいいなぁ。続きもあるようなので続けて読んでみたいな。

2020.07.07 Tuesday 11:54 | comments(0) | - | 

『菩提樹荘の殺人』 有栖川 有栖  文藝春秋

若き日の火村、そして若さゆえの犯罪――シューベルトの調べにのり高校生・アリスの悲恋が明かされる表題作、学生時代の火村英生の名推理が光る「探偵、青の時代」、若いお笑い芸人たちの野心の悲劇「雛人形を笑え」など、青春の明と暗を描く。

作家アリスシリーズというのか火村シリーズというのか…。今回は若さを共通とした4つの短編集。このシリーズの主人公たちは年齢30代半ばで固定されてしまってるなかで、火村の大学生時代のエピソードとアリスの高校生の頃のエピソードが入っていて面白かったです。というか、どれも面白かった。アリスと火村は大学生の時に出会ってるのでそれ以前はお互いに謎だし、付かず離れずの距離感もいい。

「青の時代」の火村の名探偵ぶりも面白くていい。

やっぱりこのシリーズいいな。


9点



2014.02.07 Friday 17:56 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『高原のフーダニット』 有栖川 有栖  徳間書店

 「オノコロ島ラプソディ」容疑者には鉄壁のアリバイ。国産み神話の淡路島で、火村を待ち受ける奇天烈な事件。「ミステリ夢十夜」有栖川有栖は近ごろ怪夢を見る。火村と彼を次々と不可思議が襲う夢だ。今夜もきっと…。「高原のフーダニット」弟を手にかけました…美しい高原を朱に染めた双子殺人事件は、一本の電話から始まった。透徹したロジックで犯人に迫る、これぞ本格=フーダニットの陶酔。ミステリ界の名手、初の中編集。

火村シリーズの中編3編。
そのうちの「ミステリ夢十夜」は夢に関わる短編を一つにまとめたもの、これが面白いかな。
「高原のフーダニット」は本格ミステリーだけど犯人がそのまんまだったのが惜しいかも。
とはいえ、さくさく読めるし楽しめる安心出来る一冊。
 
8点

2012.08.12 Sunday 16:25 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『真夜中の探偵』  有栖川 有栖  講談社

 〈もう一つの日本〉で探偵は何ができるのか第二次世界大戦後、南北に分断された日本ではすべての探偵行為が禁じられていた。父を逮捕された空閑純は、行方不明の母を捜し、自ら探偵になる決意を固める。
 
これは『闇の喇叭』の続きとなる空閑純シリーズ第二弾。
行方不明になった母を訪ねて大阪に来ている純、一人暮らしを始めバイトに明け暮れながらも密かに探偵になろうと決意。しかし、見よう見まねだし、まだまだ半人前にもならず、探偵になる前に身の回りのことで精一杯になっている…それに両親の事もあって警察には目を付けられている。そんな時にアパートの隣人が突然声を掛けてきて、探偵の真似事らしき事をすることになる。

新しい有栖川さんの主人公は17歳の女の子でもう一つの日本に生きている。その中で、一人で禁じられている探偵になろうとしている成長紀となっているのがポイント。
17歳の女の子が気持ちと行動が一致せず、ただただオロオロしながらも大人の中で悩み成長していく姿が見える・・・と良かったんだけど、まだまだ迷走中のようで、読んでいてもスッキリする部分が少なく、読みづらかったというのが正直な感想。物語の前半は純の現在位置を説明、後半から事件らしきものが出てくるのだが、もう一つの日本という設定に私がついていけないのか、事件もちょっと弱い感じがして物足りなさを感じてしまった。
ストーリーにモヤモヤ感はあっても事件の解決はズバッとして欲しいのがミステリーの醍醐味な気がするので、折角の設定が勿体無いな…と感じてしまった。
既に次の話も出ることが決まってるようなのですが、今回この一冊を読むのに一週間以上かかってしまうぐらい苦手意識が出てしまったので、しばらくは見守りたいな…と思います。。

6点
2012.01.26 Thursday 00:18 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『 長い廊下がある家』  有栖川有栖 光文社

 2つの邸を繫ぐはずの、長い、長い廊下。閉ざされた扉の前に、誰にも突き立てることのできないナイフで腹を抉られた死体があった。悪意ある者の奸計に、臨床犯罪学者・火村英生の怜悧な頭脳が挑む。本格ミステリ全4編。

火村シリーズで4編の短編集。
「長い廊下がある家」
珍しく館モノ。山奥で迷子になった学生は廃墟のような別荘を見つけたが、そこにいたのはTV制作のためにいたオカルト取材班。そこで一人の男が殺されるが…。
大胆なトリックにビックリ、犯人には不利な条件ながらも、それを生かしての犯行は偶然生まれたもの。偶然を推理するのは難しいんだけど、大胆不敵とはこのことかな。


「雪と金婚式」
50・・・という数字を折り込んでの作品なんだそうだ。
犯人が分かった…といった男性が記憶喪失となった。何故犯人が分かったのか、そして何故記憶を失ってしまったのか。。
このシリーズにしては珍しい展開だが読了感は良い。

「天空の眼」
ある男が屋上から転落した。事故か自殺か殺人か。
今回は作家アリスが一人で解決したもの。
このタイトル…上手い!

「ロジカル・デスゲーム」
反対にコチラは火村だけが巻き込まれた、犯人と一対一のデスゲーム。
言葉巧みに命がけのゲームに誘う犯人、逃げ出せない状況ながらも冷静に回避しようとする火村。心理戦でハラハラする展開に息を呑む。
クールさの中に必至に頭を回転させてるのが伝わってきます。

インパクトがあるのは最後の「ロジカル〜」だけど、どれも面白かった。
シリーズものとなると、ある程度制限があるはずだけど、どれも違った面白さがあった。
長編も良いけど短編もいいですね。。

8点
2011.03.10 Thursday 10:46 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『本格ミステリの王国』  有栖川有栖 講談社

 デビュー20周年を記念して、これまで色々な媒体に発表したミステリに関する文章と書き下ろしを集録。著者秘蔵の短編「蒼ざめた星」の生原稿や「殺刃の家」も初収録。

2009年で20周年となった有栖川さんのエッセイで、
「ミステリ好きなあなたへ」
「ミステリが書きたいあなたへ」
「ミステリ作家未満」
「ミステリに関する二十の断想」
の4章にわけ綴っている。
ミステリ小説の始まり探偵小説からの歴史、江戸川乱歩や横溝正史、そして社会派ミステリの松本清張などをも詳しく書かれ、そこから今度はトリックや犯人像など、ミステリー作家を目指す人への指南のようなことまで書かれている。
また自身のデビュー前の未公開作品も1作品は直筆原稿のまま載せられてたり…
〜と作家を目指してる人には作品作りの参考になるようなこと。またミステリーファンの物には、ネタバレとまでは言わないが、こういう作業で作られてるのが分かって面白い。

なかなか新作がバンバン出ないのでヤキモキするけれど、結構筆マメというか、エッセイはマメに書かれてるようで、新本格はどこからきたのか?なんて興味あるけど…ってことまで、あれこれ沢山書いてくれてるようで、それが適量の文章で書かれているのでとても分かりやすい。
小説もだけど、エッセイも常に読み手側目線で書かれているのが大阪出身のサービス精神と優しさなのかも。
結構読み応えはあるけど、ミステリーが好きな人は読んでみてもいいかも。。
(有栖川ファンだから面白く思えるのか…?)
2010.10.05 Tuesday 14:05 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『闇の喇叭』  有栖川有栖 理論社

平成21年、南北に分断され、政府が国内外に目を光らせる日本。探偵行為も禁じられ、探偵狩りが激しさを増す中、謎めいた殺人事件が起きる。存在意義を否定された探偵に、何ができるのか、何をすべきなのか?

前回ミステリーランドから小学生向けに『』を出されてたのですが、今回はミステリーYA! 。ヤングアダルト向けということで「何か自分で考えるきっかけ、興味を持つきっかけになればと思って書いた」とのこと。
第二次世界大戦、別の理由で戦争が終わったという設定で、現実とは違う抑圧された日本が描かれてます。
…これだけで、結構緊張感が走るのですが、物語の世界はもっと息苦しい世界となってます。そのなかで生きる3人組がすむ町にある殺人事件が起こるのですが…。
現実と文化レベルは一緒でも考え方や思想が違うとこうも変わってしまうんですね。
ピリピリとした緊張感の中で読み進むことが出来るのですが、ミステリーとして読む部分は少なくなってました。
けれど心は揺さぶられたまま…というラストが悲しいですね。

8点
2010.09.08 Wednesday 10:54 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『赤い月、廃駅の上に』  有栖川有栖 メディアファクトリー   

廃線跡、捨てられた駅舎。赤い満月の夜、異形のものたちが動き出す−。戦慄の表題作ほか、恐ろしくも、どこかやさしくせつない全10編のテツ怪談を収録。『幽』連載を中心に単行本化。

10編の鉄道に関わるホラーミステリー集。
鉄ちゃんでこれまでにも鉄道に関わる作品をコッソリ(?)書いてきた有栖川さん。今回はその鉄っぷりを発揮した、しかもミステリーというよりホラーでの作品集となってます。
 
鉄オタたちが鉄道にまつわる話をしていくものや、亡くなった人達が三途の川を渡るために乗っていく列車の話など、1編が短いけれどピリッと効いた話が多く、ホラーながらも楽しめるものばかりでした。
 
9点
2009.06.09 Tuesday 14:08 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『有栖川有栖の鉄道ミステリー旅』  有栖川 有栖   山と渓谷社

有栖川有栖の鉄道ミステリー旅
有栖川有栖の鉄道ミステリー旅

最果てのローカル本線・根室本線、やがて沈む鉄路・吾妻線…。自称「乗りテツ」のミステリー作家・有栖川有栖が、鉄道ミステリーの話を交えつつ、自らが旅した鉄道について語る。読んでみたい「鉄ミス」ベスト60も収録。

乗りテツの有栖川さん、自身の旅の思い出などを綴った鉄ちゃんにはウケるエッセイ…。
しかし有栖川さんのファンだけど鉄道関係はサッパリ…という方でもご安心を。
「この鉄ミスがすごい!」と銘打って、トラベルミステリーを紹介。
今どきに言うなら、鉄道ネタとミステリーのコラボ(?)
有栖川さんも上手いなぁ〜。急に身近に感じます(笑)
松本清張『点と線』森村誠一『新幹線殺人事件』鮎川哲也『ペトロフ事件』西村京太郎『寝台特急殺人事件』などを紹介。
改めて読んでみたくなりました。
2009.02.04 Wednesday 14:25 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『火村英生に捧げる犯罪』 有栖川 有栖  文藝春秋

火村英生に捧げる犯罪
火村英生に捧げる犯罪

「とっておきの探偵に、きわめつけの謎を」。作家・有栖川有栖への不審な電話と、大阪府警に届いた、臨床犯罪学者・火村英生宛の挑戦状。名コンビが活躍する全8編を収録。

火村シリーズ10冊目で8篇の短編集になってます。

「長い影」これは中編。廃墟となった工場跡で起こった事件の裏にあるもの。犯人自体は何となくすぐ判るのですが、判った後で改めて思う事件の始まりの情景。ナルホド…と思わせてくれます。
「鸚鵡返し」これは珍しく火村がアリスに話しかける〜という火村自身の言葉だけで書かれてます。普段言葉少ないだけに珍しいですね。
「あるいは四風荘殺人事件」これはミステリーを非難していた既に無くなった大御所作家さんの未完成作品がミステリーの元となってます。これはミステリー作家への挑戦状のようにも取れて面白いです。
「火村英生に捧げる犯罪」表題にもなった作品。火村への挑戦状のような犯行声明を大阪府警に送りつけてくる犯人。そしてアリスの元には怪しげな電話がはいるというまた新しい導入。
「殺風景な部屋」これはかなりショート。しかしよく聞けば(読めば)すぐ判るんですけどね…。

バラエティにとんだ短編集となってますがどれも面白いですし、10冊目なのに新鮮で周りの常連登場人物の背景もそれぞれ少しずつ明かされてたりもします。
短編ながら新しい一面が見れたので、ますます次回作が気になります。

9点
2009.01.30 Friday 00:05 | comments(0) | trackbacks(1) | 
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