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『再婚生活』 山本 文緒  角川書店

山本 文緒
角川書店
¥ 1,470
(2007-06)

直木賞受賞、山手線円内にマンションを買い、再婚までした。恵まれすぎだと人はいう。人にはそう見えるんだろうな−。夫婦という葛藤。涙する心と孤独の病、鬱。病んだ心が静かに恢復してゆく。著者3年の沈黙を破る告白日記。

前作『日々是作文』の続きとなる一冊。
日記エッセイとして仕事を再開したけど、病気は一進一退といった状態から徐々に悪化。入院しても続けていたが、それも無理となってきた。。
と、そのクダリまで読んで病院で書いていることが当たり前と思っていた文緒さんに、本当に頑張っちゃう人なんだと感じた。
1日1日気持ちの浮き沈みがあり、気持ちのコントロールが出来なくて落ち込んでしまい、薬に頼るしかなくなる。入院して少し改善されることはあっても、その場しのぎに見えることもある(私的にです)。
そしてエッセイの休止後(多分かなりの月日が経ってると思う)の日記には明らかに変化があった。
エッセイにも触れられているけど、転院した先生とその時に出会った(街の)整体師からの指導にあったのかも・・・と思う。
・・・まぁその辺は私的に気付いたり感じることが多かった。
どう思ったかは書かないけど・・・、エッセイ日記に書かれていた揺れ動く気持ちに心も体もついていけない様子やパニックになる要素だったり、入院中の様子や先生との会話など、きっと書いているときは苦痛だったと思うけど、同じ病気だったりその関係者だったりする人には訴えてるものが伝わる文章に思う。

この1冊に約3年分綴られている。出だしとラストでの文章の違いで随分ホッとした。
再婚日記なのだからこれからも王子との日記を続けて欲しい。
2009.09.05 Saturday 00:40 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『日々是作文』 山本文緒  文芸春秋

山本 文緒
文藝春秋
(2004-04-08)

 31歳の私に、10年後の私をこっそり教えてあげたい…。離婚して仕事もお金もなかった31歳から、直木賞受賞&再婚してしまった41歳まで。激動の10年の中で様々な思いを綴ったエッセイ集。

山本文緒さんの4冊目のエッセイ集。
小説は何冊か読んでるけどエッセイは初めて。
しっかりOLをやっていながら突然作家の道を選んだ文緒さん。この本が出るまでに、結婚離婚、再婚と、色々あった。
今の私ぐらいの年齢の文緒さんに会えるわけですが、私がよく読んでいた頃の作品もこのあたりとなり、懐かしさと、作品の雰囲気と本人との差に少し驚きも感じた。
どうもこのエッセイを書いてるのは素顔の本人で、作品は作家山本文緒が書いてる〜と全く分かれてるような感じです。
それは、この本のラストあたりに書かれている、直木賞の候補・そして受賞したあたりで、また彼女の分岐点の一つとなってるようです。
この本が出た当時はあまり読もうと思わなかった本なのですが、何故か今手に取っているのは何故か、今が私の読み時なのかも。
2009.09.03 Thursday 00:53 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『ボトルネック』  米澤 穂信  新潮社

ボトルネック
ボトルネック

恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。

ファンタジックミステリーというのでしょうか…
もし姉が無事生まれ、僕が生まれてない世界。そこでは自分の周りの人はどうなってたんだろう、そもそも僕の生きた道は良かったのだろうか、それとも僕が仮の世界の住人で…。
夢の世界に引き込まれたような感覚、しかし見覚えのある風景の中、実際には出会うことの無いはずの姉と出会ってしまう。
その姉と会うことで、モヤモヤした部分が少しずつ分かり始めると同時に自分を否定してしまうことになる。
もしも、このときに選んだ選択が別なものだったら…と考えることがあるが、そもそもの出発点から【もしも】が始まってしまう。

パラレルワールドのなか、姉と僕との間違い探しに惹きつけられます。
初読みの作家さんなのですが、とても読みやすいですね。
たまたまですが何年か前に東尋坊に行ったので、あの高さを思い出すところから(つまり最初から)この舞台に入り込めたのかもしれません。

久しぶりのこの手の作品、新鮮に読むことができました。

8点
2008.10.15 Wednesday 00:24 | comments(4) | trackbacks(10) | 

『笑う招き猫』  山本 幸久  集英社文庫

笑う招き猫 (集英社文庫)
笑う招き猫 (集英社文庫)

男と並んで愛誓うより、女と並んで笑いを取る、それが二人のしあわせなのだ!駆け出しの漫才コンビ、『アカコとヒトミ』。超貧乏で彼氏なし、初ライブは全く受けずに大失敗。おまけにセクハラ野郎の先輩芸人を殴り倒して大目玉。今はぜんぜんさえないけれど、いつかはきっと大舞台。体に浴びます大爆笑―。夢と笑いとパワーあふれる傑作青春小説。第16回小説すばる新人賞受賞作。

このところ巷ではお笑いブームで、コンビによる漫才師も多くTVに出ている。
この物語の主人公2人も若手でこれからの女漫才コンビ。このデコボココンビの2人がまさにお笑いの頂点を目指そうと頑張るのだが…。
とにかく2人のキャラがとてもハッキリしているし、こんな2人の出会いも面白い。また某○○バトルやライブハウス、チャリのレットバロンで東京の街を疾走したりと、結構リアルに描かれているし、ネタもそこそこ面白い(←活字なんで…)。
また漫才師としての話だけでなくヒトミの決断だったり、アカコの過去だったり、事務所マネージャーやタレントさんの話など、周りの人間模様も描かれていて、この世界にスッポリ入り込んでしまった。

また、文庫本のほうには、このお2人のモデルにされた方(らしき人)が解説を書いてみえたのだが…この人達とお知り合いだったのね。なるほど…、なおさらリアリティがあるはずだ。。

大人の青春物語となっていて、面白かった。まだ始まったばかりの「ヒトミとアカコ」、これからが楽しみなコンビです。
いつか続編出ないかな。

『幸福のロケット』にこの2人が少し出てるのかな。今度読んでみる事にします。

9点
2007.09.15 Saturday 23:54 | comments(4) | trackbacks(3) | 

『おらんくの池』  山本 一力 文藝春秋

おらんくの池
おらんくの池 
 
最強のダイエット、道中疲れを治す秘伝、贈り物の極意、身だしなみの基本、効果的なセールストーク…。借金返済のために作家を志し、人気時代小説家となった著者の日常とは? 元気が出る爆笑エッセイ。『週刊文春』連載。

2冊目のエッセイです。
そしていまだ山本一力さんの小説を読んでないという…(苦笑)
タイトルの『おらんくの池』は高知・土佐湾の意味ですが、おらが街おらが高知県ととった方がいいと思う。
高知で育った子どものころの話やエッセイ執筆中に深川八幡へ引っ越してからの家族の様子や街並み、そして近所の銭湯での出来事など、一力さんが日ごろふと思うことが綴られている。
幼いころの母子の思いは貧しくても大切なことを教えてもらった…と何度か書かれている。そして現在の家族といろんなエピソードなど、心温まる話も多い。
故郷を大切に思う気持ちが今の生活にいきている…。
またこの街に住んだからこそ時代小説が書けるようになったという。
地域に根付いてこそ、しっかり踏み出せるといった一力さんの生き方にちょっと感動させられた。
2007.03.06 Tuesday 00:01 | comments(2) | trackbacks(0) | 

『それからはスープのことばかり考えて暮らした』  吉田 篤弘 暮しの手帖社

それからはスープのことばかり考えて暮らした
それからはスープのことばかり考えて暮らした
  
どんなときでも同じようにおいしかった。だから、何よりレシピに忠実につくることが大切なんです…。ある町に越してきた映画好きのオーリィ君と、彼にかかわる人たちとの日々の暮らしを描く短編集。

短編連作と表現した方がいいかな。
新しい街に引っ越してきたオーリィくんが出会った人達はみんな気さくで優しく、そして暖かい。
数駅先にあるこじんまりとした映画館ではお気に入りの映画が見れ、そして住まいに近い場所に「3」という美味しいサンドイッチ屋があり、窓からは教会が見える…。そんなお気に入りの場所が多い街で暮らすオーリィくんの世界が見られます。
そんなにスープが得意だった訳じゃないけれど、スープ作りを託されると、拘らずにはいられない。どんなスープが美味しくてサンドイッチに合うのか…。
そのスープ研究が、まわりの人を暖かくするのだ。

とても暖かい人達が出てくるし、とてもゆっくりとした時間が物語の中に流れている。とくに何があるわけでもないけれど、今の時間を、そして出会う人達を大事にしているだけなんだと思う。そんなオーリィくんに引き寄せられる人達。
スープのようにジンワリ暖かくしてくれる作品でした。

9点
2007.02.22 Thursday 00:01 | comments(2) | trackbacks(1) | 

『ハリガネムシ』 吉村萬壱 文藝春秋

ハリガネムシ
ハリガネムシ

芥川賞受賞作。
高校教諭で倫理を教える25歳の真一は半年前に一度あったことのあるソープ嬢サチコに再会する。サチコの壊れた様子を見るうちに、自分の奥底にあった凶暴でサディスティックな部分が表れ始めるが、この事も冷静に見つめる自分も居る。
人を痛めつけるのが快感に変わり、そのまま堕落していく…。


読んでいて気分が悪くなるのは正直な所。主人公の暴力的で相手の痛みに疎い人。そこで何か得るものがあるかというと…ない。痛めつけ、反対にやられて、それだけ。
確かにこんな狂気な人も現実にいるかもしれないが。。それなら、このまま終わって欲しくない。
何処に文学があるのか判らない。救いもないし良さも見つけられなかった。
痛い作品。

3点
2004.11.26 Friday 16:59 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『ため息の時間』 唯川恵 新潮文庫

ため息の時間
ため息の時間

全部男の視線から書かれた9篇の短編集。
女性が書いた男性って少し美化されていて変な感じだ。ちょっとバブルの頃の話だな〜と思いつつ、女性も勝手だが男性も勝手(笑)みたいな。…リアルとまでは思わないが、こんな感じの人が居るかもって思わせる。
男性はこんな風に女性を見てるの?・・・笑

男性が読んだらどういう風な感想になるのかな…。

「口紅」
>病に伏した妻が始めて口紅を買ってきて欲しいと頼む。…やっぱり女性は凄い。

「言い分」
>コッチで聞けばなるほど、アチラで話を聞けば納得。優柔不断な人も、ここまでだったら凄いな。。。

「僕の愛しい人」
>何故僕はこんなに思っているのに分かってくれないんだ…。一途…というか勘違いというか。ホラー系・かな。

「分身」
>一回り以上若い妻が信用出来ない夫は、会社から自分の妻へ他人を名乗りメールを送り始める。
妻が思うほど夫はモテナイ(笑)と逆で考えることはありうるけど、この場合は反対。それだけ好きなんでしょうけど…。

家庭や職場での男女の話ばかりだが、サクサク読める作品集。

9点
2004.09.25 Saturday 20:04 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『夜明け前に会いたい』 唯川 恵  新潮社

夜明け前に会いたい
夜明け前に会いたい

作者が出身だという金沢を舞台にしたラブストーリー。
芸妓の娘、加賀友禅の作家、喫茶店のマスターなど、情景が詳しく伝わってくるだけに、
TVドラマのような話の展開に見える。それは金沢の町を知ってるだけに
2時間ドラマのような話に感じてしまうのは私だけかしら。
主人公を好きになれなかった。

しかし、分かりやすく読みやすいこと、とても淡々とした独特のテンポは期待どおり。
パッと手に取ってすぐに作品の世界に浸れる。

6点
2004.06.08 Tuesday 22:36 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『不運な女神』 唯川恵 文藝春秋

不運な女神
不運な女神

8篇の短篇集。
決して幸せではない女性。人を羨んだり、恨んだりする毎日。自分を追い込んでしまうけど、ふと立ち止まった時、何かが見える。不幸だと思う日々もそれでも明日は来る、といった「前に進む女性」達を8編の中で描いている。

どの話も良かったが「凪の風景」「枇杷」「帰省」は、ジーンと来るものがある。

各編に登場する人物は、所々にリンクして出てくる。一つの話の中に映る登場人物達の後ろに何気に映ってる人にも、その人を主人公とした話がある。人それぞれの物語がある…というのが、面白く読めた。

特にドラマチックな話ではないけれど、物事を不幸と受け取れば不幸になるように、主人公達のように前を見つめる受け止め方が出来れば、不運なだけで、不幸ではない。
読了後は爽やかだ。

9点
2004.04.18 Sunday 23:12 | comments(2) | trackbacks(0) | 
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