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『ショート・トリップ』  森絵都   集英社文庫

どこまで行ける? どこまでも行こう!
森絵都がおくる、「旅」をめぐる超短編集。
毎日中学生新聞に「Further sight 旅のかけら」として
連載したものの中から40編を選び、加筆する。


星新一のショートショートみたいな、3ぺーじの短い物語にイラストがついた可愛らしい作品。
単行本は児童書のコーナーに置かれていたのはおぼえてるけど、中学生対象に書かれてたんですね。私もこの手のは中学生のときにやたら読んでましたね。。

シュールなのもあり、タイムトリップしたようなのがあり(旅をテーマとしてました/汗)、とコロコロ飽きさせません。
中学生向けだったとはいえ、十分大人も刺激してくれます。それが40編もあるのだから、結構読み応えもあります。

森絵都さんといえば、児童書作家…というのがあります。
『カラフル』『リズム』『エンゼルフィッシュ』『つきのふね』という好きな作品のインパクトが強かったからかも。。
そんな私には結構懐かしく嬉しい一冊でした。

9点
2010.07.29 Thursday 00:24 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『屋久島ジュウソウ』  森絵都 集英社

 ゆるゆる、和気あいあい、のんびり楽しいグループ旅行のつもりで訪れた屋久島。その時はまだ、そのハードさには気づかずにいた−。著者初の、まるごと「旅」エッセイ。『小説すばる』連載のエッセイと旅日記を収録。

この本では屋久島ジュウソウとslight sight-seeingが収められている。

屋久島ジュウソウ
解説にもあるように、ゆるゆる和気藹々の旅行のはずでスタートした一行だが、縦走の意味もわからないまま出るなんてちょっとというか怖さ知らずな感じ(笑)
参加している殆どが出版社の方で、内々な雰囲気もありつつも、仕事の為になら山にも文句も言わず登るんだな…と、プロ意識も見えたりして。
森さんも大変だったようで、頂上に着いた時に達成感はあったものの、実は下りのほうが大変なのも実感されたようで。。
でも体験記・・・として楽しめるかというと・・・

slight sight-seeing
『小説すばる』で連載されたエッセイの中から14話。外国旅行でのエピソードや現地でのトラブルなど、日本とは違う価値観の中でのやりとりは面白かった。。


旅行記・・・というと角田光代さんが思い浮かぶし、ちょっと比べてしまうかも。
角田さんより毒っ気が薄いので(笑)パンチ不足な気がするかな。。


2009.11.05 Thursday 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『つきのふね』  森 絵都 角川文庫

つきのふね (角川文庫)
つきのふね (角川文庫)

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき―。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編。

あることがキッカケで親友と絶縁関係になってしまうが、その相手の方はどんどん悪い方向へ行ってしまう。同級生勝田くんもストーカー並に張り込んだり情報収集に励むのだが…。
心の闇というのは誰しも持っているが、自分自身もそして周りもその対処の仕方がわからない。同級生梨利の心の内と24歳の智さんの心の闇。そして勝田くんの苦手とするもの…。みんな何か悩みを抱えている。そして何も出来ないでいる主人公が居る。
けれど、親友の為に、そして智さんの為に扮そうする姿はエネルギッシュ。どうしたらいいなんて考えない、ただ思いつくまま出来ることをするだけ…。

まだYA(ヤングアダルト)向け小説が浸透していない1998年の作品。
この中学生達もこの時代に生き、1999年のノストラダムスの大予言の話題が出てきている。大人になるっていっても私達の未来は無い…そう想像出来てしまうのが良くも悪くもこの世代と重なってしまった。
反対に言えばこのタイミングに丁度この年齢だった子達にしか感じられなかった、未来への不安が描かれている。
月日が経っても、中学生が持つ世界観の狭さや悩みの深さは変わらない、けれど、シンプルでいい言葉が次々出てくる。そして疾走感があり、友達っていいな、友達や相手のことを真剣に思うって大事なことだと気付かされる。

これも大人も中学生さんにオススメです。

9点
2007.07.11 Wednesday 09:13 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『風に舞いあがるビニールシート 』 森 絵都 文藝春秋

風に舞いあがるビニールシート
風に舞いあがるビニールシート

「大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語。」

第135回直木賞受賞作。
6編の短編集ながら、どれも中身の濃さを感じる充実した一冊です。

『器を探して』『犬の散歩』は、読み進めるうちに気持ちの変化が読み手自身も変わってきます。それだけ主人公に投影してしまうんですよね。またその気持ちへ変化させる方向もジンワリポジティブにさせます。
『鐘の音』25年ぶりにあった仏像の修復師の主人公が、25年前当時を振り返りながら仏像への思いや修復した仏像の秘密を知っていくという、ミステリーの要素もあり一気に読ませます。仏像一体に歴史があることなど普段あまり知られてない仏像の説明があったり、またタブーのような危険な部分に入るようなそんなハラハラした感じも伝わってきて良かったです。
『ジェネレーションX』は良かったですね。若者の方の電話を聴きながら年上の方があれこれ勝手に想像して若者を勝手に決め付けてしまう…。しかし、電話先の人物が会話だけで伝わってくるのも面白いですよね。電話をするたびに表情が変わるのが想像できそうです。また、上手く話が展開していくんですよね。これは面白い。
『風に舞いあがるビニールシート』は一転して重め。エドとの出会いから一気に燃え上がる恋、そして結婚してからの相手のギャップと不安感がのしかかってくる…。主人公の心の高ぶりと揺れが伝わってきます。タイトルが示すものがとても重く、幾つもの事に掛かってます。

それぞれの作品の主人公たちは、確たるものを持っているのだけれど、それに作品の中で見つけ、これから前へ進んで行こうという姿がみれる。
ちょっと綺麗過ぎるかもしれないけど…。

>9点
2006.09.11 Monday 11:53 | comments(8) | trackbacks(13) | 

『アーモンド入りチョコレートのワルツ』 森絵都 角川文庫

アーモンド入りチョコレートのワルツ
アーモンド入りチョコレートのワルツ

森絵都さん初の短編集が文庫化された。
3編の短編集で、どれもピアノ曲の副題が付いており、中学生の主人公達のドラマに色を添えている。

「子供は眠る」
夏休みはいつも章の別荘でいとこ同士が集まり何週間か泊まる。これがなけりゃ夏休みが始まらない。だけど今年はちょっと雰囲気が違った。
「彼女のアリア」
同じ不眠症同士として放課後の音楽室で二人で会うようになった。普段は廊下であっても知らん振りだが、ここで会う彼女は饒舌だ。しかし話を聞いていると??
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」
小学生の頃から通っているピアノ教室はとても楽しいし先生も一緒に行く友達もユニークだ。しかし突然謎の外国人が現われた…。

登場人物はどの作品も中学生。3つとも少しロマンティックな話だけど、しっかり現実に引き戻している。まだまだ中学生で、夢だったり楽しいこと優先で考えるけど、ふと現実に戻る部分がある。夢と現実を同時に見てしまう年頃の男の子女の子を上手く使っている。

あくまで中学生の目線で書かれていて、大人の意見で邪魔されていない所がいいところ。ピアノ曲の副題だけで、この作品の雰囲気を一瞬にして作り上げているのが素敵。

少ーし習っていたことのある私は、とてもイメージしやすく、ピアノ教室やクラッシックの曲を延々聴く辛さは記憶の中にシッカリ刻まれている。その記憶の箱を開けたような…。
懐かしさは何故か感じなかったが、自分が中学生の頃に戻ったように同じ目線や同じ気持ちで読めた。

8点

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2005.08.07 Sunday 20:27 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『いつかパラソルの下で』 森絵都 角川書店

いつかパラソルの下で
いつかパラソルの下で

潔癖で厳格な父が事故で亡くなった。
既に二十歳で家から出ていた野々だが、父と同じ会社に勤めていた女性と会ってから生前の父の姿を知る。
今まで故郷のことを語らなかった父、なぜここまで厳しかったのか、また会社ではなぜ別の姿があったのか?一周忌を前に兄と妹と三人で父の過去を探すことになる。。

確かに大人向けの表現やテーマになるのかな?野々自身の悩みは兄妹にも言えないものだし、また父の過去や父のルーツには驚かされる。
しかし、親子の関係や兄妹の関係が上手く描かれていて、森さんらしさは変わらなく出ている物語だと思う。
それに父の死から始まっているが、父の過去を見ることで父の存在がしっかりあるので悲壮感はない。
兄妹の関係はとても絶妙、昔の父や故郷のことを語る人たちも個性的で笑わせる。

父の本当の姿が少しは理解出来たのだろうか?
親といえど知らなくてもいいことだったのかもしれない。
だけど、家や兄妹たちとも疎遠だったのに、また引き合わせてくれたのは父だった。

タイトルは疎遠だった父に歩み寄る言葉だと思う…。
……素敵だ。

9点

著者インタビュー
2005.07.24 Sunday 17:19 | comments(2) | trackbacks(6) | 

『永遠の出口』 森絵都 集英社

永遠の出口
永遠の出口

主人公紀子が。小学三年(四年かな?)から高校卒業までを綴っている。

小学生のころ、友達や先生の一挙手一投足に左右されたり、中学では親や周りの人への反発、高校では…と女の子が通るべき道を、繊細に感じたり、また大胆に行動したり〜とその時その時を精一杯考えている様子がとても共感出来た。
それだけリアルなのかもしれない…。ただちょっとラストは少し物足りない感じがしたかな。。

8点
2003.04.30 Wednesday 14:06 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『ゴールド・フィッシュ』 森絵都 講談社

ゴールド・フィッシュ
ゴールド・フィッシュ

『リズム』の続編
中一の女の子が中三になり、受験生になった。
憧れのしんちゃんは夢を追いかけ東京に行ったが・・・
理想と現実との違いを考えたくない為に、ウチに篭ってしまうのは、大人も同じかな。年頃の女の子の素直な気持ちの揺れが書かれていて、読みやすく気に入った。
前回『リズム』のときにも書いたけど一言一言のセリフがとても良かったと思う。飾らない言葉にとても惹かれた。

>9点
2003.04.03 Thursday 14:33 | comments(0) | trackbacks(2) | 

『リズム』 森絵都 講談社

リズム
リズム

児童書。本自体は薄く、装丁はかわいく綺麗。まるで絵本のよう…。

 姉妹、友達、親戚の家族・幼なじみ・学校…
主人公の気持ちの変化をそれぞれの距離感で流れていて、中学生の女の子に、みんな真剣に答えていく…。

その言葉はとても深く、強く、そして芯を捉えていて、読むほうにも心に打つ。

主人公の女の子の想いがそのままストレートに伝わってくる。

この本には、セリフ(言葉)にとても惹かれる。
タイトルの『リズム』とても大切な言葉に思えた。
→『リズム』その後の『ゴールドフィッシュ』も楽しみ。

『カラフル』に続くお気に入り本。
10点
2003.04.02 Wednesday 08:35 | comments(0) | trackbacks(1) | 
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