受診するほど病気じゃない。入院するほど病んでない。けれど、どこか不安な私たちは、あのカフェで、病院の傍らにいることで、癒されている。過去にあそこで「何かが良くなった」経験があるからだ。『漢方小説』から10年。新たな舞台は総合病院のカフェ。ふた組の中年夫婦のこころと身体と病をえがく、カフェの醸し出す温かさが流れる長編小説。
…『長いお別れ』の後に手に取ってしまったが同じ中島さんでもたい子さんの方だ。舞台は総合病院のカフェだが同じ空間をシェアした人たちのオムニバス物語になっている。カフェのバイト達、医師、患者さんらしき人、入院患者とその家族…など。そのカフェのバイトに潜入取材のように作家が見たことを描いたのかと思ったら違うんですね。病気で来ている人だけじゃない、病気によっては食べてはいけないものも提供していて、でも病院のカフェだから体に良いと思い込む人もいたりして。そんな不思議空間な場所に来る色んな問題や悩みを持った人達が重なる場所。一つ一つの話が短くてちょっと勿体ない感じ、分かり合えなくなっていた夫婦が気になったし、パッと晴れる話はないが、きっと病院で見かける人たちのそれぞれの世界が混じりあった場所なんだと。。。まぁ色々考えさせる話でした。。暖かく思えるかどうかは…読み手次第でしょう。。