「理不尽なお別れはやり切れません。でも、それでも無理やり笑って、バイバイと言うような、そういうお話を書いてみました」
6章からなる短編連作。
5股掛けていた星野君は、借金苦となり、行き先の分からない「あのバス」に乗せられてしまう。その前に、今まで付き合ってきた女性に別れを伝えに行くという。
その星野が逃げ出さないようにと見張り役として巨漢の毒舌女性・繭美がついてきます。そして女性に会うたびに、更に星野君の優しさと優柔不断さにマツコ…いや繭美のツッコミ。
別れも告げるのも告げられる方も結果やさしくバイバイとなるのですが、それぞれのミニストーリーはほのぼのしているものの、「あのバス」の正体との行方は分からないまま。
それは前半暗くあるものの、だんだん忘れさせるぐらい実はそんなにやばくないのかも…とも思わせますが、やはり「あのバス」に乗る日が迫るうちに、見えない怖さを感じさせます。
「あのバスは」、星野君のその後は…かなり気持ちをモヤモヤ・揺さぶられたまま。
久しぶりに伊坂さんの作品を読みましたが、これも伊坂ワールドなんですよね。…想像力豊かな人ほど深く感じられるかも。
>9点