強運の持ち主
7編の短編連作の『強運の持ち主』。
会社の上司と合わなくてOLをやめて一人で出来る占い師へと転職したルイーズ吉田。ユルめの占いとOL時代の営業から学んだ話術で診断する占いは人気上々。
全国各地にある某ショッピングモールやスーパー名が出てくるところが、グッと身近なお話に感じますね。
7編どれも面白かったけど、インパクトがあったのは最初の『ニベア』。半分適当な(笑)占いをしているのに、あっさり人生を変える選択をこの占いで決めてしまう小学生…その重みに耐え切れないルイーズ…もはや占いじゃないけど、ほってもおけない。しかも「ニベア」…商品名じゃないですか(笑)でもこれが効いていたのが驚き。
一人で出来る仕事として選んだ占い師。だけど師匠に付き、毎日沢山の人と出会う。そして占いで来た男性にとても強運の持ち主を発見、その人を彼氏にしてしまうという…実に大胆だけれど、ちょっと自分の苦手な所を克服しながらも、ちゃっかり彼氏ゲットしてるところは、苦手な事も良い事に変えてしまう…そんなチカラがルイーズ自身持っていたりする。そんな彼女の才能を師匠は見抜いていたのかしら…。
考え方一つで気の持ちようが違うから…とお客さんが占いだけでなく気持ちを後押しされたくて来ていることを判っている。そのお客さんにエールを送るような占いは、とても好感を持てる。ただルイーズはそれを適当に占っていると言うのだから…天然系なのかもしれないけど、こんな占い師に見てもらいたいと思わせる。。
後半で学生の武田クンとアシスタントの竹子さんの登場でルイーズ自身の周りが変わり始める…自身のことについては感情が入りすぎて冷静になれないようだ。
占いに縛られる事無い…それでも占いを信じてしまう。
でも、占いはキッカケであって、それをどう上手く利用出来るかどうか、そして判断はやはり自分自身を信じ決めること…
………そう教えられてたようだ。
今回も瀬尾さんらしく、とても身近でほのぼのしていて、たくさんの食べ物が出ていて、メインにあるテーマと更にもう一つ気付かせてくれる一捻りがある物語となっていた。
私としては瀬尾作品の中で1位2位と上位をつけたい作品となった。
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10点