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『おしまいのデート』 瀬尾 まいこ   集英社

  スーパーで働く三好には、毎月給料日にうどん屋でデートする相手がいた。…といってもお相手は彼女ではない。62歳のじいさんだ。三好が上じいと呼ぶそのお相手は、彼が高校生のころにお世話になった先生で、よくこのうどん屋で親子丼を食わせてもらったお礼に、給料日になると、彼にご馳走してあげて恩返しをしているのだ。そして、そんな関係は2年間続いていたのであったが…。

5編の短編集ですが、どれも別れのシーンのデートでの食事シーンが描かれている。
男女の…ではなく、祖父と孫・恩師と生徒・同級生と2人など。
食事といえば、幸せを感じる時だと思うけど、それとおしまい(別れ)とを組み合わせてるのが、おもしろいというか…。

恩師との別れや祖父との別れは悲しいものなのだが、食事…つまり共に食べる、という事は悲しみさえも癒す効果があるんだと、教えられた気がする。
また描かれた食事シーンがとても美味しそう。

瀬尾さんといえば、離婚した親を持つ子どもが主人公というのが多い…。
今回もまぁ何回かその設定はあるのが気になるところだが、瀬尾さんはこういうシーンをいくつも見てきてるのだろうか。
命の危険に冒されてるような悲しみではない、けれど心を痛めてる人が居る。そのとき傍にいる人はどうしたらいいのだろう、と考えた時の一つのヒントをもらったような気がする。また自分がその時はこうやってしてみてもいい。

とっても薄い本で、話も短いのだが、結構思う事のできた一冊でした。


8点


2011.08.30 Tuesday 10:35 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『戸村飯店青春100連発』 瀬尾 まいこ  理論社

戸村飯店青春100連発
戸村飯店青春100連発

大阪、住ノ江にある中華料理店、戸村飯店の2人の息子は、見た目も性格もまるで正反対。アホで不器用だけどまっすぐな兄弟を追いかける、さわやか爆笑コメディー。

中華料理屋に生まれ、年子の男の兄弟なのに、見た目も性格も違う二人。
お互い馴れ合うこともなく、兄はさっさと家を出て行った。
器用で要領よく世の中を渡っていけるタイプの兄に対し、熱血で感情が表に出るタイプの弟。
という対照的な感じの2人兄弟、が離れて暮らすようになってからの様子が、関西のノリが上手く使われていて面白かった。
まだ二人とも若くて判らない事だらけ。それでも判らないと口で言える二人はこの兄弟の良い所。
反発しあう仲から、大人へと成長していく中での兄弟の姿。
なかなか、清々しくて面白い。
ウチも息子二人なので、余計に〜でしょうか。今後の二人が気になります。

10点
2008.10.10 Friday 19:51 | comments(2) | trackbacks(6) | 

『ありがとう、さようなら』  瀬尾まいこ  メディアファクトリー

ありがとう、さようなら (ダ・ヴィンチ ブックス)
ありがとう、さようなら (ダ・ヴィンチ ブックス)

せんせいの毎日はありがとうに満ちている、そして訪れる、さようなら。
小説みたいな瀬尾まいこの毎日。
小説家・瀬尾まいこがデビュー直後から3年半にわたって書き綴ったエッセイ集。


本の中でも書かれていたけど、学級通信を読んでいるような、けれど堅苦しくなく、先生という立場より、同級生?か上級生が担当学級の子達を見ているような、そんなエッセイ。
学校の中では必ずあるサヨナラの場面。そこには共に過ごし悩んだ生徒達との思い出がよみがえります。生徒達に思い出が残るように先生にも残るんですよね。
当たり前ですが、常に新しい経験を積み人との出会いとふれあいをされている。だからこそ、あの生き生きとした小説が出来上がるんだと改めて思いました。
ここ最近新作が出ないと思ってたら、3年生を持っていた時期があったのですね。
教員となってからは、更に忙しくなったと思いますが、瀬尾さんの中に生まれた新たな子ども達を小説の場に出して欲しいなと思います。

中学生の子を持つものとしても興味深く読ませてもらいました(^^)
2008.02.15 Friday 15:27 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『見えない誰かと』 瀬尾 まいこ 祥伝社

見えない誰かと
見えない誰かと

「以前の私は人見知りが激しく、他人と打ち解けるのに、とても時間がかかった。社会に出てからも、わざわざ親しくもない人と一緒に何かするくらいなら、一人でいたいというつまらない人間だった。でも、…」誰かとつながる。それは幸せなことだ…待望の初エッセイ。

モバイル連載「誰かとつながる。それはしあわせなことだ」に加筆訂正された瀬尾さんの初エッセイ。
非常勤講師・常勤講師を数年続け、最近正式に教諭として今も現役で中学校の国語の先生ならではのエピソードを瀬尾さんのゆったりした文章で紹介したエッセイは面白かった。
多く書かれていたのがやはりユニークな先生との出会いだったり生徒だったりと一教師としての出会いが多かったけれど、教壇に立つ先生はそれほど先生っぽくなさそう…(笑)
また自身の家族のことやプライベートの友達のことなど、知らない一面が見えて面白かったし、教師と校長先生・教頭先生とのやりとりは、他では聞けないというか、職員室をちょっと覗いた気分。。
中学生の母としても興味深々…楽しく読まさせてもらいました。

また『図書館の神様』の話にも触れ(作品について触れてるのはこの作品だけですが)、クールで独特の雰囲気を持つ垣内君にはモデルがいたそうで、実際はもっと素敵だったとか。
これからも沢山の生徒さんたちとの出会いが続くのでしょう…。
ゆっくりでいいので、作品を通して沢山の出会いを教えて欲しいです。
2007.05.27 Sunday 12:31 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『強運の持ち主』 瀬尾まいこ 文芸春秋

強運の持ち主
強運の持ち主

7編の短編連作の『強運の持ち主』。
会社の上司と合わなくてOLをやめて一人で出来る占い師へと転職したルイーズ吉田。ユルめの占いとOL時代の営業から学んだ話術で診断する占いは人気上々。
全国各地にある某ショッピングモールやスーパー名が出てくるところが、グッと身近なお話に感じますね。

7編どれも面白かったけど、インパクトがあったのは最初の『ニベア』。半分適当な(笑)占いをしているのに、あっさり人生を変える選択をこの占いで決めてしまう小学生…その重みに耐え切れないルイーズ…もはや占いじゃないけど、ほってもおけない。しかも「ニベア」…商品名じゃないですか(笑)でもこれが効いていたのが驚き。

一人で出来る仕事として選んだ占い師。だけど師匠に付き、毎日沢山の人と出会う。そして占いで来た男性にとても強運の持ち主を発見、その人を彼氏にしてしまうという…実に大胆だけれど、ちょっと自分の苦手な所を克服しながらも、ちゃっかり彼氏ゲットしてるところは、苦手な事も良い事に変えてしまう…そんなチカラがルイーズ自身持っていたりする。そんな彼女の才能を師匠は見抜いていたのかしら…。
考え方一つで気の持ちようが違うから…とお客さんが占いだけでなく気持ちを後押しされたくて来ていることを判っている。そのお客さんにエールを送るような占いは、とても好感を持てる。ただルイーズはそれを適当に占っていると言うのだから…天然系なのかもしれないけど、こんな占い師に見てもらいたいと思わせる。。

後半で学生の武田クンとアシスタントの竹子さんの登場でルイーズ自身の周りが変わり始める…自身のことについては感情が入りすぎて冷静になれないようだ。

占いに縛られる事無い…それでも占いを信じてしまう。
でも、占いはキッカケであって、それをどう上手く利用出来るかどうか、そして判断はやはり自分自身を信じ決めること…
………そう教えられてたようだ。

今回も瀬尾さんらしく、とても身近でほのぼのしていて、たくさんの食べ物が出ていて、メインにあるテーマと更にもう一つ気付かせてくれる一捻りがある物語となっていた。
私としては瀬尾作品の中で1位2位と上位をつけたい作品となった。

10点
2006.05.26 Friday 08:14 | comments(6) | trackbacks(5) | 

『優しい音楽』 瀬尾まいこ 双葉社

優しい音楽
優しい音楽

今回はストーリーも短く、そしてちょっとコメディタッチの3編。
ちょっと個性ある女の子達が登場してます。

「優しい音楽」
付き合いだした彼女とは、今までとは違うタイプのようだ。彼女というより家族的な感じがする。なかなか彼女の親にも合わせてくれない。
>>途中で先の展開は予想できたが、主人公の男性が物事をえらく前向きに捕らえているあたりが瀬尾さん色っぽくてイイ。予想できた写真立てのあたりから先の展開はちょっとビックリ。

「タイムラグ」
>>いわゆる不倫相手が妻との二人旅の間、その娘を預かる…という、不倫でも御法度を主人公は任されている。何でこんな男に惚れるのか…本人さえも謎なのだが、子は親の鏡なんだろうか娘を通して相手家族の様子が伝わってくる。実は不倫どうのこうのの話ではないあたりが凄い。主人公女性の見る目はあったのだろうか?ともかく知らない間にイイ人になってる彼女には同情すべきか<笑>

「がらくた効果」
同棲中の彼女は何でも拾ってくる。そして物持ちがいい。
そんな彼女が拾ってきた物は…??
>>いや拾ってくるの範疇を越えてるような。しかし主人公達は会話も増え、知らなかったことや新しい気付きがあったり相手の良さも分かったり。。。ほんの数日だが幸福の神様が来たようだ。
普段、ガラクタのように思えるものも時には役に立つ。私は無駄だったと思うような経験も時には身になるような意味で受け止めた。この数日ビックリする出会いもきっと身になり役に立つ、いい経験になるんだろう。
だからといって拾ってこなくてもイイけど<笑>
きっとまた別のところで役に立っているのかな。。

「がらくた効果」の彼女が一番はじけてました<笑>瀬尾さんの作品にこんなキャラクターが出てくるとは思わなかったのでビックリしたけど楽しめました。

9点
2005.05.02 Monday 20:25 | comments(8) | trackbacks(5) | 

『幸福な食卓』 瀬尾まいこ  講談社

幸福な食卓
幸福な食卓

4編の短編連作。

突然お父さんを辞める宣言をし、勤めていた学校も辞めた父。夕ご飯の用意までしていくのに夕飯前には帰る、一人別居を始めた母。高校ではトップクラスの成績を残しながら、大学には進学しません宣言をした兄。こんな厄介な申し出をする人たちだが、毎日の食事にはいつも揃って食べる。それぞれを尊重し、いたわりあっている私達は優しい家族だ。

中学生の佐和子が、ちょっと変わった家族と、塾で知り合った大浦君と仲良くなり、高校生へと成長していく物語。
優しい家族と言うだけあってちょっと変わった事があってもドライに乗り越えていく佐和子だが、彼女が本当に子どもらしい姿になるのは大浦君とのシーンだ。理解していると言いながらある程度距離もあって接してきた家族とはちがって、大浦君へ向けた気持ちは、同じ食卓に居なくても通じるものがあったのではないか。返せば毎朝同じ食卓に居てもすべてを分かっていたわけではない、ただ集まると言うのが仲の良い家族と勘違いしていたのではないか?
彼女が泣いて引きこもってしまった時に初めて家族のあるべき姿を見つけたのではないかと思う。

8点
2005.01.14 Friday 15:54 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『天国はまだ遠く』 瀬尾まいこ 新潮社

天国はまだ遠く
天国はまだ遠く

都会で忙しく働く23歳のOL千鶴は、日々の生活に疲れ自殺願望が生まれる。優柔不断な彼女が勇気と決断を持ち、死に場所を求め家を出たが、見知らぬ土地に着いた所は…。

瀬尾さん、第3作目です(*^^*)
読むたびに、文章が簡潔になるというか、ストレート・誤魔化さないというか、隠さなくなってきてるような。主人公の千鶴の心の内が全部見えているような文章で、とっても面白い。
素直で真面目で、天然で(笑)という主人公が、ドタバタ仕度したりタクシーのオジサンとやりとりするあたりは、一生懸命すぎて笑えるのだが、イッパイイッパイになってる時は、傍からみたら、あんな感じなのかもしれない。
イマドキ、アレでは死ねないだろう…とは思うが、思いつめた本人には分からないんだろう(笑)

たどり着いた先の民宿での田村氏がいい雰囲気をもった人。結局千鶴の自殺は未遂になるのだが、一度死ぬ怖さを経験した千鶴にも自然と向き合ってくれる。その、あっけないほどの自然さに吹っ切れ、都会とは別の時間の流れに身を置かしてくれる。この民宿・この村?は、千鶴にとって居心地が良く、ある意味天国なのかもしれない。
しかし、ここから離れるのである。ここにいてはいけないと気付いてしまう。。ここが、瀬尾さんらしい。

だれにでも落ち込んでしまう事がある。もう駄目だと思うことがある。「くよくよするな」なんて言わない。落ち込んだらそのままほっておいてくれるのである。そして、自分であれこれ時間をかけて悩み考えさせてくれ、ちゃんと一人見守ってくれる、自分自身で立ち直れるように。

落ち込みやすい人(私)にとっては、優しく勇気付けてくれる話でした。。。

9点
2004.07.13 Tuesday 11:08 | comments(2) | trackbacks(0) | 

『図書館の神様』 瀬尾まいこ マガジンハウス

図書館の神様
図書館の神様

今年、高校の講師となった清(キヨ)は、18才まで名前の通り清く正しく生きてきたが、「ある事」が、彼女を変え、追いつめていた。
間違わないことが正しいと思いつつ、現実はそうでもないことに気づきながらも対応しきれなく自分の心の中にとどめてしまう主人公。そのうちに心の拠り所にしていた彼に・・・。
まだ赴任して間もない顧問の先生を、静かに、でもしっかり見抜いてる垣内くんが、図書館で堅苦しく構えてしまうキヨを、ほぐしてしまう。

誰でも、いっぱいいっぱいになって、視野が狭くなったり意固地になったりして、閉じこもったり又誰かに当たったりすることもある。
その時に、聞いてくれたり分かってくれたり、意見してくれたり・・・それだけで、今まで見えなかったことが見えたり、あっさり解決したりする。
キヨは何年か引きずってきたことが、新しい環境になって、色んな人に会い開けていく様子が心地よく読めた。
 
キヨの問いかけや言葉に、「分かりました」とキヨの迷ったり、弱い部分を見つけるのが上手な垣内くん・・・。別に励ますわけじゃないけど、気づかせてくれる言葉を知ってる彼みたいな人を私は現実に見つけたいなあ〜笑
私自身、文芸作品の楽しみ方を知らなかったので、とても参考になった。苦笑

9点
2004.01.29 Thursday 14:34 | comments(0) | trackbacks(2) | 

『卵の緒』 瀬尾まいこ マガジンハウス

卵の緒
卵の緒

「卵の緒」
 小学5年生の育生が、元気なお母さんや友達との日常の生活の中
から、色んな事を感じ、受け止めていく。
主人公が等身大に書かれていて素直にサクサク読める。
何気ない会話が子供達にとってはとても大事な事なんだなぁと感じた。

「7's blood」
 高校生七子と、父の愛人の子、小学生の七生が突然二人で同居し始める…
これも子供が主人公の話。。

両方とも、子が母を想い、母が子を想う。。。
当たり前のことなんだけど、改めてとても大切な事なんだと
気付かせてくれる本だった。
>9点
2003.03.26 Wednesday 08:44 | comments(2) | trackbacks(2) | 
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