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『今日も一日きみを見てた』 角田 光代 角川文庫

生後三カ月で角田家にやってきたアメショーのトトは、粘り強く慎重派で、運動音痴。ああやっぱり私に似てしまったんだねえと同情し、愛猫の寝息に至福を覚え、どうか怖い夢を見ませんようにと本気で祈る。この小さな生きものに心を砕き世話しながら、救われているのは自分の方かもしれない―猫を飼うことで初めてひらけた世界の喜びと発見。愛するものとの暮らしを瑞々しい筆致で綴る感涙の猫エッセイに猫短篇小説も収録!

 

そんなに予備知識がないまま飼い始めた…そこには初めて体験し想像以上の出来事に喜び感心する。初々しい角田さんの様子が見て取れる。が、西原さんからの「今度生まれた7番目の子猫を譲るわ」の言葉にすんなりイエスと言えたのか。初対面だった西原さんはなぜ角田さんに声を掛けたのか。

このエッセイは角田さんのブログからの書籍だったのか。。併せて読むとトトの可愛さも10倍増しで伝わるはず。

 

 

2018.02.05 Monday 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『それもまたちいさな光 』 角田 光代  文春文庫

デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。いまの生活に不満はないが、結婚しないまま一人で歳をとっていくのか悩みはじめていた。そんな彼女に思いを寄せる幼馴染の駒場雄大。だが仁絵には雄大と宙ぶらりんな関係のまま恋愛に踏み込めない理由があった。二人の関係はかわるのか。人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。

TBSラジオドラマ用に書かれたもので、実際流れたのかな?
現在の仕事に打ち込む仁絵が幼馴染の雄大との再会から、ラジオの帯番組の他愛のない会話を交えて、今と過去の恋愛、そして知人の恋愛をゆったりと描いた作品。
この人間関係をどうラジオドラマに描いたのか興味があるけど、活字で読むとどちらかというとパーソナリティー寄りに読んでしまったので、面白いかどうかはわからないが、パーソナリティーのゆったりさと、ちょっと諦め気味な感じが良かったし深いな〜なんて思ってしまう。
まぁちょっと大人の恋愛も私は興味がなくなったのか(笑)
でも、ゆるさ加減も(ゆったり加減)が、押しつけっぽくなくて読みやすかった。。かな?

7点

2012.09.16 Sunday 21:42 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『菊葉荘の幽霊たち』 角田光代 角川書店

角田 光代
角川春樹事務所
¥ 1,785
(2000-03)


友人・吉元の家探しを手伝いはじめた“わたし”。吉元が「これぞ理想」とする木造アパートはあいにく満室。住人を一人追い出そうと考えた二人だが、六人の住人たちは、知れば知るほどとらえどころのない不思議な人間たちばかり。彼らの動向を探るうち、やがて“わたし”も吉元も、影のようにうろつきはじめている自分に気づき…。奇怪な人間模様を通じて、人々の「居場所」はどこにあるかを描く長篇。

同居する彼が住みたいというアパートに住めるようになるため、彼女はその住人を追い出そうとするのだが・・・。
温度のない会話、無関心な人達の世界に漂ってる感じが、何とも・・・・。
とはいえ、キャラクターに拘り聞き続ける女の子が不気味だ。
最初にこのアパートに住みたいといっていた彼こそ幽霊かも。

6点
2009.10.11 Sunday 23:56 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『三面記事小説』 角田光代 文芸春秋

バリケードのような家に住む姉夫婦、妻殺害をネットで依頼した愛人の心の軌跡…。誰もが滑り落ちるかもしれない記事の向こうの世界。現実がうみおとした6つの日常のまぼろしを、鮮やかに描いた小説集。

実際新聞にあった数行の三面記事。そこから角田さん流の解釈でのその記事に至るまでの経緯を描いたもの。
紙面で見ると事件としての結果しか書かれていない。しかし三面記事の主役となる人物が、いかなる理由でそういう行動になったのかのまでは判らない。
実際は違うかもしれない。しかし角田さんがフィクションで書かれたことに近い何かが合ったのかもしれない。
どれも生々しく後ろめたさと影と混沌とした雰囲気がある。
小説としてはミステリーでしょう。
短編集ながら、ドンヨリと・・・そして感動ではない心の揺さぶりを受ける。

また新たな角田さんの作品を見た気がする。

8点

2009.09.28 Monday 01:04 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『12星座の恋物語』 角田 光代,鏡 リュウジ  新潮社文庫

盛り上げ上手な乙女座さんは、ひとりの時間がなにより大事。はちゃめちゃ印の魚座くんも金の魚ならクールが魅力の天才肌…。人気作家と人気占星術研究家の夢のコラボがついに実現!12星座の女と男それぞれに星が与えた真のメッセージを、せつないラブストーリー&納得のホロスコープガイドで説く、初めての星座小説集。本当のあなたの姿と、気になる彼の秘めた心に迫ります。 
 
12星座の男女24人が出てくるショートショートとその星座の男女に分かれて鏡リュウジさんが分析解説している、新感覚の一冊。
星占いと言えば自分の、もしくは家族・恋人ぐらいのところまでしか見ないと思う。
実際この本も私はまだ自分に近い人の星座中心に読んでいて、たまたまその星座の知り合いがいない所はピンとこない。
…しかし、自分や家族などの星座を見ると…かなり当ってるというか思い当たる節が。。
その星座の持ち主の登場人物は、何故か客観的に自分を見てるようで、フシギな感覚。
また角田さんの短い文章での人物の描き方が鋭くてビックリ。角田さんの目ではズバッと見抜かれてしまうんだろう…。
少し前に読んだ『トリップ』を読んだ時に感じた、なんでもない人にスポットをあてた書き方にドキッとしたような感覚、それがこの本でも感じられた。
 
特に女性の方が女子だった頃(笑)、星占いの本に手を伸ばしたことがある人が多いと思うけど、その感覚をまた味わえる。
私には年頃の息子がいるので、その星座の男子部分は食い入るように読みましたが、うなずくことばかり。。
当然自分の星座のところも見ましたが、嫌なぐらい見破られていて悔しい。
ちなみに私は乙女座女子…上の解説どおり1人の時間が好きで、どんなに眠たくても必ず趣味のこととかをやってからでないと寝れないちょっとかわいそうな人(T_T)
今のところ見るのはこの辺までにして、またお友達などの星座が分かった時には、また手に取ることにしよう…(そんな機会ないか・・・・)
2009.08.01 Saturday 23:06 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『トリップ』 角田光代 光文社文庫

 女子高生、主婦、サラリーマン…。同じ町に暮らす人々の危うい生活。「エコノミカル・パレス」「空中庭園」の著者が描く、ありふれた町の、ふつうの人々の、すこしズレた日常。

10編の短編連作…というんでしょうか。
東京近郊にある街に住む人たちが主人公。
10編分だけの生活がある。
共通点はその街に住んでるというだけで、
ストーカーも居れば子どもも居て夫に逃げられた妻が居て…
という、幸せとは言い切れない影のある人達が主人公となって書かれている。
読んでるとちょっと痛々しくて、ちょっと不器用。でも街中に溶け込んでいる。
共感するような登場人物は居ないし、読了感もスッキリしないけど…上手いな〜と思わせる一冊でした。
 
7点
2009.07.29 Wednesday 20:07 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『福袋』  角田光代  河出書房新社

 私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に生まれてくるのかもしれない…。謎で不可解な届け物や依頼、同僚、夫など身近な人の不可解さに出くわす8つの連作小説集。
 
どれもちょっと奇妙な人に出会ったり、奇妙な体験をする話ばかり。不気味とは言えないけど引いてしまうことってたまにある。
それを「福袋」に例えるなんて角田さんらしい発想かも。
 
「箱おばさん」
確実に私は預かってしまうタイプなだけに真剣に読んでしまった。そしてこうやって預ける人っているんだよね…。
 
「フシギちゃん」
長谷川さんの話…ついつい耳を傾け聴いてしまう(笑)こうはなりたくないって思うけど。。                                                                   
 
「母の遺言」   
4兄妹が母が亡くなった後集まる分けだが…かなりシュールな遺言にビックリ(苦笑)。兄妹それぞれの立場があるのだが結構リアリティを感じた。長男の気持ち長女の気持ち・真ん中の子や末っ子ではまた母への想いも違うもの。
反対に母はどういう気持ちで子ども達を想ってたのかは謎。それもリアルかも。
 
「カリソメ」
これも何となくコワい話。奥さんそこまで参加しちゃう?でも昔の旦那が見えて本当に良かったのかな。引いた〜を越えて冷めた … と思うんだけど。
 
「犬」
…コワい。一直線すぎるのはヤバイ。
 
「福袋」
突然こんな人が来ても困る…だってテンション違いすぎ。だけど客観的に見ている自分もいる。亡くなった母はどう思うのだろう〜という疑問を主人公は常に持っていて、迷惑を掛けまくる兄にウンザリしてるのに…そんな気持ちに裏腹な部分もある。
 
 
後半は結構強烈〜 (ゆってぃ風)  ですが、結構主人公をわが身に置いて読んでしまった。 こんな感じに読んだのは久しぶりかも。
ちょっと冷めたようで、でも動揺したり混乱したりする姿がストレートに書かれていて面白かったです。
短編ながらグッと引き込まれるし、思わず上手いよね…と思った一冊。
 
なんだかスッキリするわけではないけど、すんなり分かって納得出来ることってそんなにない事〜というのに納得。

9点
2009.06.28 Sunday 14:31 | comments(0) | trackbacks(4) | 

『予定日はジミー・ペイジ』  角田 光代  白水社

予定日はジミー・ペイジ
予定日はジミー・ペイジ

出産にはいくつものストーリーがあり、悩みと笑い、迷いと決定が詰まっているのだろう。だめ妊婦、ばんざい! 天才ロックギタリストの誕生日に母親になる予定の「私」をめぐる、切ないマタニティ日記。書き下ろし小説。

赤ちゃんが生まれるまでを日記風に綴った物語。
行き当たりの結婚そして妊娠。
戸惑いながら、優しい夫に八つ当たりし、こんな気持ちで母になっていいのだろうかとも思ったり、そこには彼女の過去も影響したりするわけだけど…。
そもそもなぜ子どもを作ったのか…なんてところから考えてるのですから、若干客観的に見てるところもある。
けれども子どもの名前を考えたり予定日を待ち、次第と出産へ向けての準備が整ってくるにしたがって、彼女の気持ちも母になる準備をしている。
出産には人それぞれのストーリーがある。
彼女もその一つを描いてる途中なのだ。

角田さんも子どもさんが居ない…というのに実にリアルな心理描写が出来るんですね。
エッセイ風にもとれる文章が読みやすく入りやすい。
それにしても生まれる前から同じ誕生日の有名人を調べるなんて面白いですね。えらく優しい旦那さんだし〜ちょっと気の強い奥さん…これも角田さんらしいのかな。

8点
2008.11.02 Sunday 00:55 | comments(2) | trackbacks(4) | 

『しあわせのねだん』  角田 光代  :晶文社

しあわせのねだん
しあわせのねだん

魅惑の電化製品、財布の理想的中身、母との忘れられない旅。その値段は? お金は何をしてくれて、何をしてくれないのか。直木賞作家が、日々の物欲のくらしから垣間見た、幸福のかたちを綴るエッセイ。

私は角田さんの作品よりエッセイのほうがよく読んでるかも。
角田さんの文章は実にサッパリしていて…男らしい女性という印象。
OL並みに8時―5時の仕事時間決めている。
食べること〜というより昼・夜の食事は何にしようと常に考えてる。
とても短気で怒りんぼう…と自覚しつつ、待ち時間を作らないように考え、万が一待つ羽目になってしまった時は、どうしてくれよう…と考えを頭の中でグルグル回してたり分析したりと…まあ楽しい人のようです。

この本では手に入れた物や食事や旅行の値段から、そのことに費やした時間の値段など、エピソードも交えて書かれている。
そのエピソードも面白い。思えば物を買うときに衝動買いをすることはあまりない、それなりにコレを買おうと思う…この辺から買う物に対するドラマが始まってしまう(笑)
手に入れたものはその値段の価値があったのだろうか…美味しく頂いた料理の値段もあれば、混んでいてなかなか手元に来なかった丼の値段…あんまり使わないけど大人の定期入れに掛けた値段など、角田さんの物に対する考え方も分かる。

「私達はお金を使うとき、品物といっしょに、何かべつのものも確実に手に入れている。大事なのは品物より、そっちのほうかもしれない」…と書かれている。
しあわせのねだんとは、そういうことなのね。
つまり…私の周りに気付いてなかったけど、しあわせはゴロゴロあるのかも。
2008.02.02 Saturday 00:46 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『あしたはアルプスを歩こう』 角田 光代  講談社文庫

あしたはアルプスを歩こう (講談社文庫)
あしたはアルプスを歩こう (講談社文庫)

歩くことは書くことと似ている。
登山経験ゼロで挑んだトレッキング紀行。
なんかへんだ。雪が積もりすぎているのである。視界は白く染まり、風に飛ばされそうになりながら、標高二三二〇メートルの小屋に駆けこんだ。―トレッキングをピクニックと取り違え、いつもの旅のつもりでイタリア・アルプスの雪山に挑んでしまった作家が見たものは?自然への深い感動を呼ぶ傑作紀行。


NHK・BSで放送され、自然への感動を呼んだトレッキング紀行。
『あしたはドロミテを歩こう」(岩波書店 2004年刊)の改題

既に放送されているわけだが、本の中では角田さんの登山中の心の声だったり、頭の中をグルグル駆け巡っていた事など、映像では伝わりにくい角田さん自身が見えてくる。

とても旅慣れている角田さんが、今回はTVクルーと現地の人と一緒にアルプスを目指す。私も低山を登ったりするけれど、イキナリ雪山の2〜3000m級のは登れない…。けれど角田さんは登っちゃったのだ(凄い)。
その中で、角田さんは沸々浮かぶ疑問を現地の案内人マリオさんに聞き、その答えにただ感嘆するのだ。また黙々と歩くことはそれだけ考える時間があるわけで、角田さん自身がその疑問だったり不思議に思ったことを少しずつ消化していくのだ。

>歩くことは書くことと似ている。
の、他にも、
>目の前にあるものを見てしまったらそれを信じるしかない…
など、自然の凄さに人生だったり自分が写りだされていくのが伝わってきます。
また、出会った人達との関わりだったり、食事のシーンは角田さんらしく大胆で、旅の楽しみ方を知っていて、充実した旅だったことが解かります。

旅好き、山登り好きな方にはオススメです…。
2007.07.26 Thursday 22:32 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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