私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に生まれてくるのかもしれない…。謎で不可解な届け物や依頼、同僚、夫など身近な人の不可解さに出くわす8つの連作小説集。
どれもちょっと奇妙な人に出会ったり、奇妙な体験をする話ばかり。不気味とは言えないけど引いてしまうことってたまにある。
それを「福袋」に例えるなんて角田さんらしい発想かも。
「箱おばさん」
確実に私は預かってしまうタイプなだけに真剣に読んでしまった。そしてこうやって預ける人っているんだよね…。
「フシギちゃん」
長谷川さんの話…ついつい耳を傾け聴いてしまう(笑)こうはなりたくないって思うけど。。
「母の遺言」
4兄妹が母が亡くなった後集まる分けだが…かなりシュールな遺言にビックリ(苦笑)。兄妹それぞれの立場があるのだが結構リアリティを感じた。長男の気持ち長女の気持ち・真ん中の子や末っ子ではまた母への想いも違うもの。
反対に母はどういう気持ちで子ども達を想ってたのかは謎。それもリアルかも。
「カリソメ」
これも何となくコワい話。奥さんそこまで参加しちゃう?でも昔の旦那が見えて本当に良かったのかな。引いた〜を越えて冷めた … と思うんだけど。
「犬」
…コワい。一直線すぎるのはヤバイ。
「福袋」
突然こんな人が来ても困る…だってテンション違いすぎ。だけど客観的に見ている自分もいる。亡くなった母はどう思うのだろう〜という疑問を主人公は常に持っていて、迷惑を掛けまくる兄にウンザリしてるのに…そんな気持ちに裏腹な部分もある。
後半は結構強烈〜 (ゆってぃ風) ですが、結構主人公をわが身に置いて読んでしまった。 こんな感じに読んだのは久しぶりかも。
ちょっと冷めたようで、でも動揺したり混乱したりする姿がストレートに書かれていて面白かったです。
短編ながらグッと引き込まれるし、思わず上手いよね…と思った一冊。
なんだかスッキリするわけではないけど、すんなり分かって納得出来ることってそんなにない事〜というのに納得。
>9点