6編の短編集ですが、どの話も出てくる登場人物の人生の一部をギュッっと濃縮された話ばかり。
世の不条理を恨むわけでもなく、それを当たり前として生きている。諭すわけでもない、淡々とした描き方にリアリティや共感を感じる。
1編ごとに感想を書くと膨大になりそうなのでやめますが、じっくり読みたい本、読んで欲しい本です。
>9点
みかんのReading Diary♪…本など諸々の感想、あと気になるものをUP。。
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『闇の華たち』 乙川 優三郎 文春文庫
[ >>>乙川優三郎 ]
巻き込まれるようにして友人の仇討ちをとげる侍の感情の揺れを描いた「花映る」、客と女中として茶屋で再会した幼馴染ふたりの人生が交差する「悪名」、桜田門外の変を佐倉藩の隠密が回顧する「面影」など、珠玉の短篇六篇を収録。武家社会を生きる男女の人生を、磨きぬかれた格調高い筆であざやかに活写する。
6編の短編集ですが、どの話も出てくる登場人物の人生の一部をギュッっと濃縮された話ばかり。 世の不条理を恨むわけでもなく、それを当たり前として生きている。諭すわけでもない、淡々とした描き方にリアリティや共感を感じる。 1編ごとに感想を書くと膨大になりそうなのでやめますが、じっくり読みたい本、読んで欲しい本です。 >9点
『芥火』 乙川優三郎 講談社
[ >>>乙川優三郎 ]
芥火 表題含む5編の短編集だが、話が隅田川沿いということ、一つの節目を迎えて、それからどう生きていくのか…、作中に着物の柄や焼物など周りの小物が細かく表現されているのが共通するところ。 『夜の小紋』 型彫師を目指していたが訳あって夢を諦め家を継ぐことになり一緒になるはずの女性とも別れた。が、後にその女性はその道を歩み続け、目の覚めるような小紋を作り上げていた。 夢を一度は断念したものの捨てきれない主人公が再会によって、また型彫師への憧れと無念さとで打ちひしがれる。今までの人生を振り返り、老いて刺激を受ける。第三の人生をどう送るのか寂しくも余韻を残る話だった。 『芥火』『妖花』も良かった。寂しさだったり貧しさの中で、着物への想いや彩りが出ていて良かった。 一編一編、もっと長い話で読みたかったな。 >8点
『五年の梅』 乙川優三郎 新潮文庫
[ >>>乙川優三郎 ]
五年の梅 全5篇からなる短編集。山本周五郎賞受賞作。 「ひどい回り道をしたが、いまからでは駄目だろうか」 〜と帯にあるように、 一度覚めてしまった・分かれてしまった夫婦、此処まで追い詰められた もう若くはない男女が、このあとどうやって生きていくのか、 どの道を選んでいくのか・・・このまま只流されて生きていくのかそれとも・・・ 「五年の梅」 助の丞は主君への諫言をしたために蟄居を命ぜられた。そのために友の妹・弥生とも別れたが、別れてこそ自分の愚かさを知り、自暴自棄に過ごしただ時の過ぎる日々を生きていた。 ある日、弥生が、頼れる者もない不幸な境遇にあると耳にし、弥生の為に何とかしてあげたいと思い始める。 自分が落ちる所まで落ちてしまった時・・・どういう風に考えるのだろう、どのような行動に出るのか・・・。行き詰まってしまった時どう進むのか・・・ この短編集ではどれもこのようなテーマになっているが、どん底に今居る自分・・それでも生きていたい、と思う、とっても大事なことを伝えてくれていると思う。 5編の中、どれもがいい。 >9点
『武家用心集』 乙川優三郎 集英社
[ >>>乙川優三郎 ]
武家用心集 短篇集。8篇。 日常の生活のなかの男女、または夫婦の中で、分岐点となる場面、例えば剣客として出向く前、または5年も待たせた許婚との再会の時、その時どう決断していくか・・・8通りの話が短く濃く書かれている。 短編なので、物足りない・・・とは、決して思わない。 それぞれの話が乙川流の、しっかりした文章で表現されていて入り込んでしまう。人物の心理や情景描写は素晴らしい。 ラストに書かれる話の終わりの文章も美しい。さすが乙川さん! 九月の瓜、 邯鄲(かんたん)、向椿山(むこうつばきやま)が、特に嵌って読んだかな。 次から次へ・・・ではなく、一編一編じっくり読める作品だと思う。 >10点
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